「国民の権利の守り手危うくする」 司法修習給費制廃止で緊急シンポ
司法修習生への給与支給廃止問題をめぐって28日、制度維持を求める緊急シンポジウム(京都弁護士会主催)が京都市南区で開かれ、法科大学院生や司法修習生など240人が参加しました。
シンポでは、日本弁護士連合会会長で、同会司法修習費用給費制維持緊急対策本部本部長として活動する宇都宮健児弁護士が「給費制の維持を!~若い人の夢や志を奪うな!~」と題し講演しました。宇都宮氏は、多重債務者の債務額を上回る奨学金を返済している弁護士が多くいる現状を紹介し、「給与支給が廃止されれば経済的余裕のない人がますます法曹への進路を奪われる他、弁護士になってからも貸与金返済のために仕事を選ばざるを得なくなる」と貸与制の問題点を指摘し、「弁護士は基本的人権の擁護と社会正義の実現を自らに課していますが、その基盤を崩す貸与制は、社会的、経済的弱者の権利も奪うということ。若者の夢を奪うだけでなく、市民、国民の権利の守り手が危うくなる問題として運動を広げていきたい」と話しました。
また、若手弁護士らが寸劇を披露し、貸与制になった場合に予想される弊害を分かりやすく紹介しました。会場からは、制度維持を求めているビギナーズ・ネットに加わる法科大学院修了生など当事者が発言し、「弟は大学生、妹は高校生で、父は休職していた。修習にどれだけのお金がかかるのか、自分が不安な状態で人の気持ちを考えられるかという不安がある」(同志社大学法科大学院修了生)、「弁護士を目指していた友人は大学を首席で卒業したのに、父親がリストラされたので進学を断念した。そういう人たちをこれから出してほしくない」(立命館大学法科大学院3年生)などの実情を訴えました。
現在、司法試験合格者は裁判所や弁護士事務所などで1年間の研修(司法修習)を行いますが、期間中は修習に専念する義務がありアルバイトなどを行うことができません。そのため修習生に対して国が給与を支給し生活を保障してきましたが、政府は財政難などを理由に11月から貸与制に変更する予定です。
集会には、日本共産党の井上さとし参院議員が来ひん出席、前原誠司国交相、泉健太内閣府政務官、公明党の竹内譲衆院議員、池坊保子衆院議員がメッセージを寄せました。