京都自治体問題研究所はこのほど、京都自治労連、京都府職労連、京都市職労、京都総評などから提供された戦後の白黒写真などを対象にデジタルデータ化し、「京都戦後民主運動 歴史資料アーカイブ」として公開。憲法に書かれている地方自治を先駆的に発展させてきた戦後京都の歴史が浮き彫りになっています。

■労組所有の写真類を収集・整理し公開

 アーカイブは、民主団体役員の高齢化や組織の縮小などにより各団体の倉庫に眠る貴重な資料が廃棄されるケースが増えていることから、収集・整理・保存が急務として取り組まれたもの。

 昨年春、京都自治労連の倉庫でダンボール箱12箱に数千枚の白黒写真が発見されました。労働組合の大会やメーデーの様子だけでなく、京都の政治、自治体建設、住民運動など京都の戦後史を後世に伝える貴重な資料が含まれていたことから、同組合結成70周年記念事業(京都自治体労働組合総連合、1947年11月5日結成)として京都自治労連、京都府職労連、京都市職労などの写真や資料の整理・保存、インターネット上での公開を京都自治体問題研究所に委託して進めることにしました。

 数千枚のうち撮影時期、内容が判明した写真約300点をはじめとして▽写真資料▽出版物▽京都自治体問題研究所資料─の3つに分類し、6月に公開しました。

 1950年に全京都民主戦線統一会議(民統)が高山義三京都市長、蜷川虎三京都府知事を相次いで誕生させ、革新自治体建設が進んでいった様子や、市電市バス料金値上げ反対(京都市)、新宮津火力発電所建設反対(宮津市)、山砂利公害反対(城陽市)、久美浜原発建設反対(京丹後市)などの府内の多様な住民運動、労働組合運動の発展を生きいきと今に伝えています。

 国立国会図書館の情報サイトでも紹介され話題を呼んでいます。今後、組合、個人にも資料提供を呼びかけるとともに、資料の分析を進め、判明したものから随時公開していく予定です。
 なお、要望があれば資料現物の閲覧可。
 
 問い合わせ☎075・241・0781(京都自治体問題研究所)。

■地方自治発展させた京都/京都自治体問題研究所事務局長・池田豊さん

 若い人にしてみれば古い写真はいつのものか、誰が写っているのかわかりません。価値を感じられないのは仕方がないことです。同時代を生きた人たちとまだ面識がある私たちの世代が整理をしなければと思い、アーカイブ開設を決意しました。

 撮影記録のない写真が多かったため機関紙、号外、年史、「京都民報」「しんぶん赤旗」縮刷版などを参考にし、労組OBにも協力を得て、撮影情報から撮影日時、撮影されている人物、撮影内容を特定していきました。方法論としては古文書や絵図の研究に似ている印象を受けました。1950年~70年代も今や歴史的時代となってきました。

 しかし、写真・資料は整理されず散逸・廃棄されていっています。今後の調査研究に耐えうる基礎的データベースの構築が本当に必要になってきました。

 作業を通じて、日本共産党が提唱している憲法5原則(①国民主権と国家主権②恒久平和③基本的人権の尊重④議会制民主主義⑤地方自治)のうち、議会制民主主義と地方自治を発展させていく上で京都は先駆的役割を果たしたと再認識しました。

 その意味で、京都での記録整理・保存・公開は全国的にも貴重です。
 さらにデータベースを充実させていくとともに、先人の闘いに学び、京都から主権者である住民の自治の力を発揮しなければと思います。

(写真上=60年安保闘争 フランスデモ〔京都市、1960年〕、写真中=アーカイブのサイトトップページ、写真下=池田豊さん

(「週刊京都民報」8月13日付より)