(44)登録型派遣って?
差し替えや派遣切り容易にできる仕組み
労働者派遣法は、最初、派遣元と「期間を定めない雇用」契約を結ぶ「常用型派遣」に限るという案でした。しかし、経営側の強い要望で有期雇用による「登録型派遣」が認められてしまいました。
複数の派遣会社に登録して、派遣先から仕事が来るたびに派遣元と短期雇用契約を結ぶのです。ある派遣から次の派遣までの間、派遣元との間は「登録」だけで雇用関係がなく、賃金や健康保険が保障されません。
派遣法施行後しばらくは、1年の派遣期間で1年の雇用契約を派遣元と結ぶ例も少なくありませんでした。しかし最近では、派遣期間が1年でも派遣元と労働者間の雇用契約は2カ月、3カ月など細切れ期間になっています。受入れた派遣労働者を派遣先が気に入ら易に入れ替えるなど、いわば見習期間として、「細切れ契約」を利用しているのです。
登録型は、派遣先による身勝手な「差し替え」や「派遣切り」を容易にする不当な仕組みです。さらに、次の契約更新の保障がないので、労働者の地位が極端に弱くなり、多くの弊害を生んでいます。年休など労基法の最低基準の権利さえ、登録型派遣労働者が利用するのは難しいのが現実です。
女性の場合、「派遣先からの依頼が減る」という理由で35歳を超えると、登録自体をしてくれなかったり、登録はしても派遣紹介がまったくないという酷い例が報告されています。差別、雇用不安、無権利という弊害を生む「登録型派遣」は明確に禁止するべきです。
政党では、共産党、社民党、国民新党が登録型派遣廃止の案を示していました。民主党は消極的でしたが、6月末、共産党を除いた野党3党がまとまり、そこでは登録型禁止を原則としています。ただ、例外として登録型を認める余地を残すものです。
国会解散で、この野党3党案と、登録型派遣を温存する政府案も共に廃案となりました。次の総選挙では、登録型禁止を含む「派遣法抜本改正」支持の候補者を国会に多数送ることが重要だと思います。(「週刊しんぶん京都民報」2009年8月9日付)