(78)介護休暇の権利
事業主に介護の制度設ける義務
育児・介護休業法は、家族介護をする労働者が、事業主に申し出ることによって利用できる、いくつかの制度を定めています。すなわち、事業主は、(1)介護休業(上限93日)、(2)介護休暇を与えるとともに、(3)時間外労働の制限(1か月24時間、1年150時間まで)・深夜労働の制限、(4)短時間勤務制度(フレックスタイム制、始業・終業時間の繰上げ・繰下げ)を設けることが義務づけられています。
このうち、(1)「介護休業」は、対象家族1人が常時介護を必要とする状態に至るごとに1回、通算93日まで介護のための休業が可能です(11条~16条)。(2)「介護休暇」は、要介護状態にある対象家族が1人であれば年5日まで、2人以上であれば年10日まで、介護のために休暇を取得できます(16条の5~16条の7)。正社員だけでなく、一定範囲の有期雇用労働者も対象となります。
「要介護状態」とは、ケガ・病気、身体・精神上の障害で2週間以上常時介護を必要とする状態をいい、「対象家族」には配偶者、父母、子だけでなく、配偶者の父母、扶養している同居の祖父母、兄弟姉妹、孫を含みます。
要介護状態から回復した対象家族が、再び要介護状態に至った場合には2回目、3回目と介護休業を取得することができます。
ただ、日数が一番長い「介護休業」でも対象家族1人当たり、通算で93日が上限です。介護が長引くときには、法律の介護休業制度だけでは対応できません。
まず、(1)~(4)について、会社でどのように規定されているか、就業規則を確認して下さい。会社独自に法律を上回る内容を定めていれば、そちらが優先適用されます。介護が長引く場合、(1)と(2)以外に、(3)や(4)を利用することを考える必要があります。
さらに、65歳以上の高齢者については介護保険で、在宅介護(ホームヘルプ、デイサービス、ショートステイ)や施設介護などの公的介護サービスを受けられます。こうした公的介護を組合わせて対応を考える必要があると思います。(「週刊しんぶん京都民報」2011年2月20日付)