働く先輩の話、参考になります 伏見地区労らガイダンス
「各業界の先輩たちの話を聞いてみませんか」と大学生に呼びかけた『就職にかんする講演会』が25日、伏見区の龍谷大学深草学舎で開かれ、70人を超える学生らが集まりました。龍谷大学教職員組合、伏見地区労、伏見ふれあいユニオンの共催で、今年で6回目になります。
今年は、マスコミ、金融、公務員と民間企業の事務の4つの部門で現職陣が担当するとともに、龍谷大学の脇田滋教授と労働基準監督官の講演も企画され充実した内容になりました。
龍大教組の由井浩委員長は「就職はとても厳しい状況です。先輩や現職の方達の話を聞いて何かのきっかけになればと思います」とあいさつしました。
マスコミ部門はKBS京都放送の現職が、卒業後就職したがまったくイメージが違ったことや倒産などの体験、現在の放送の仕事のやりがいなどを語り「やっぱり自分がやりたいこと、興味あることをしっかりもつことが大事だ」と強調しました。
金融部門では東京三菱UFJ銀行の現職行員がめまぐるしく再編されている昨今の金融業界の動きと現場労働者の正規、非正規、外部委託など複雑で厳しくなっている労働状況を話し、「一方仕事に対する誇り喜びもある。上からの命令でなく自分の意見や思いをしっかり持ち言うことが大切ではないか」と述べました。
龍大卒業生の京都市職員が国家・地方など公務員全般について概略を説明し、「在学中での勉強が大事。そしてこういう仕事がしたい、どういうことが自分に合った面白い仕事か、などを普段から考えておくことがポイント」と語りました。
また一般事務職部門で働く女性からは、「転職もないが昇進もない。会社の縁の下の力持ちみたい。営業活動がしやすい環境をどうサポートしていくかが面白い。でも建前だけの男女雇用機会均等になっているし、まだまだ男尊女卑的な考えが残っている。だから一人で悩まない、抱え込まない、第三者に相談すること」と働く女性としての秘訣も伝授しました。
「正規雇用・非正規雇用とは」と題しての脇田教授(「京都民報Web」で「労働相談Q&A」連載中)の講演では、就活前に知ってほしい職場の実態について、日本マクドナルド、オリックスなど長時間労働、情勢総合職の過労死など具体例をあげて説明。非正規雇用の拡大とワーキング・プアの急増、世界に例のない日本的雇用の歴史的な経緯、歴代政府や財界の戦略、そしてワークルールの展望と確立をめざす連帯の必要性と労働運動、企業別労組の限界と地域労組の役割などわかりやすく述べました。
労基局の監督官は「安心して働くための基礎知識」と「監督官の仕事」について講演。死亡災害や司法処分などの実態を簡潔に述べ、労働時間、解雇、賃金、その他労働基準法の考え方や法違反の事例をクイズ形式など織りまぜて解説しました。
最後に板東利博伏見地区労議長がマクドナルド青年労働者が立ち上がって大きく改善させた闘いを紹介。地区労の存在意義として、誰でも、一人でも、企業が違っても入れるユニオンの値打ちについて訴えました。
参加した学生は2、3回生が多く、「働く先輩のみなさん方の話を聞いてとても参考になりました」などの感想が寄せられました。
地域ユニオンから未来の青年労働者への働きかけの1つとしての「大学生向きの就職ガイダンス」は、聴講する学生も昨年の1.5倍になり、定着してきました。また地域と結びついた労働運動としてもあらたな取り組みとして期待されています。(仲野良典)