憲法がえがく復興と未来 創立50年を迎えた京都第一法律事務所は15日、京都市中京区でフォトジャーナリストの森住卓氏と立命館大学名誉教授(放射線防護学)の安斎育郎氏を招いて50周年記念講演会「憲法がえがく復興と未来」を開催し、300人を超える参加者が訪れました。
 森住氏は、世界の核実験場や原発事故直後の福島県で取材した経験を持ち、各地で撮影した写真を使いながら講演しました。旧ソ連の核実験場があったセミパラチンスク(カザフスタン東部)では40年間の実験でチェルノブイリ事故の5000倍の放射性物質を放出し、閉鎖から20年がたつ現在もなお放射能により水や食べ物が汚染され、人々が様々な病気で苦しんでいる現状を紹介しました。
 森住氏は「原発事故は生存権を奪う。いかに憲法に違反する存在か分かる。人類の健康に生きる権利を否定したところに原発は存在する」と強調しました。
 安斎氏は、原発は米ソの2大国が第二次大戦後の世界を力で支配しようとする考え方のもとに核兵器開発を競い、核の平和利用の名の下に世界のエネルギー分野で優位に立とうとするアメリカの世界戦略の下で日本に持ち込まれたものと説明。日本の原子力政策は「電源開発促進税法」による交付金で地方自治体を原発誘致に傾かせる仕掛けが作られ、住民が原発誘致を推進しているように見せかける住民組織が結成され、アメリカ、日本政府、電力資本、官僚、学者、マスコミとともに進められてきた“国民総動員原発促進翼賛体制”と指摘。「日本の原発政策では国民そのものが翼賛体制にからめとられたことをしっかりと直視し、これからの原発政策を決めるは国民であり、それは国の有り様を決めることになる。どういう政府を選ぶか真剣に考えるべき」と訴えました。
 集会に先立って同法律事務所の奥村一彦弁護士が開会のあいさつを行い、「当事務所は憲法を守り、労働者の権利擁護の立場で団結してきました。この方向を今後も発展させていきます」と述べました。