中村和雄市長候補VS黒崎彰氏(版画家)対談
「伝統文化の復興を」黒崎
中村 先生が今の道を歩む上で転機になったことは何ですか。
黒崎 京都の大学(京都工芸繊維大学)にいったことです。それまで私の絵の先生はヨーロッパの印象派万歳の人ばかりでした。京都に来るとまったく違う文化があるわけですよ。
中村 日本の伝統文化が息づいている。
黒崎 そう。まち全体が中世の工房です。路地を入ったら提灯(ちょうちん)屋があり、路をまがったら神棚を作っているところがあり、染屋があり帯屋がある。高度な技術にもとづく手仕事がそのまま連綿と続いている。
中村 残念なことに優秀な職人が高齢化し、商売が難しいので跡取りがない。厳しい状況を迎えています。
黒崎 厳しいのは、わかります。しかし、お茶やお花をするときには着物でしますね。数は減っても需要は絶対にある。偽物を作らず小ロット(少量生産)と、コマーシャリズムで生き残る道はあると思います。
中村 庶民は、豊かな伝統文化を享受したい。しかし、時間的にも経済的にも余裕がない。残業、残業、低賃金では。働き方を変えることが必要です。公契約条例などで「循環」「底上げ」を進め、京都経済をよみがえらせることが京都の伝統文化を復興させる一番の方法だと思います。
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「働き方変えてこそ」中村
黒崎 教育も大切ですね。海外の夢物語だけを輸入してコマーシャリズムに乗せるのでなく、日本の歴史や伝統を考える人たちを育てなければいけない。それぞれの地域の歴史や文化を踏まえ、生活の場から人を育てることが大切です。そこから地域や国への誇りが生まれてくる。
中村 京都市は経済効率を優先するがあまりに学校統廃合をすすめ、子どもたちを地域から切り離しています。
黒崎 京北でも5つあった小学校が3つになり、小さい子がスクールバスで学校に通っています。お金の使い道を間違えている。政治が教育のことを考えないといけない。
中村 経済効率が優先され、主人公であるはずの子どもたち、市民の声がないがしろにされていることが問題です。そのような市政を刷新していきたいと思います。
黒崎 そういった方に市長になってもらいたい。協力できることはさせてもらいます。
中村 ありがとうございます。がんばります。
くろさき・あきら 中国(旧「満州」)大連市生まれ。京都工芸繊維大学意匠工芸学科卒。第1回フィレンツェ国際版画ビエンナーレ金賞、現代の巨匠・世界版画賞展(サンフランシスコ近代美術館)世界版画賞など受賞多数。京都精華大学名誉教授。日本版画協会理事。著書は「版画史解剖―正倉院からゴーギャンへ」(阿部出版)など。今年「近江八景」を完成。