終い弘法 毎月21日の東寺(救王護国寺)は弘法大師が没した日(835年3月21日)で御影供法要が営まれます。この日を縁日として、大きい境内外にたくさんの露店が市を開き大勢の人でにぎわいます。とりわけ12月は「終い弘法」で出店数や参詣者が多く盛況です。
 21日の終い弘法では、植木や古着、食材など平常の弘法市に加えて、門松、高野槙、千両、万両、葉牡丹、南天や松竹梅の鉢植え、注連縄(しめなわ)など正月の縁起物の植木市やごまめ、昆布、数の子、黒豆、干し柿、クワイ、棒鱈などお節料理の食材を商う露店などが主流になり、買い物客が品定めをしながらたくさん求めていました。今年は先週来の底冷えも穏やかな好天にめぐまれたせいか、例年より多い13万人を超える人出と予測できるほどで境内は身動きできないほどの盛況でした。
 南大門脇にある修行中の弘法大師の立像や薬師如来像など重要文化財がある金堂などでは、お参りの列ができました。この1年を無事終えたお礼と新年も健康に過ごせ家内安全を祈念して、護摩木や塔婆を炊いたり線香や蝋燭を灯して神妙に拝んでいました。
 滋賀県守山市から団体で訪れた女性は「毎年来てますねん。棒鱈やクワイ、椎茸など正月用品をいっぱい買った」と大きなレジ袋をニコニコ顔で見せてくれました。東寺の近所に住んでいる年輩の男性は「弘法さんには毎月来ています。今日はスルメやメザシを買いました。酒の肴です」と元気に言います。岐阜県多治見市から訪れた女性は「終い弘法さんには毎年来ています。お参りを兼ねて伊豆の釣姫人形の着物をつくるので古着を買っています。お正月でいるものはこれからです」と話していました。(仲野良典)