懇談会の閉会あいさつ

 たくさんのご意見をいただきまして、心から感謝いたします。一人ひとりのみなさんからいただいたご意見、ご要望は、すべてしっかりと受け止めて、今後の活動に生かしていきたいということをまず申し上げます。

消費税増税をなんとしてもやめさせる─抜本的対策として

経済「提言」懇談会

 今度の「提言」を出した最大の動機というのは、やはりいまの消費税増税計画を、なんとしても阻止したいということです。
 この問題について、世論調査をやりますと、どの世論調査でも、国民の50数%から60%は反対です。しかし反対の人でも、「消費税をあげなくて大丈夫なのだろうか」と、心配をされておられると思います。また賛成と答えた人でも、「本当はあげてほしくないけれど、やむを得ないから」という人も、少なくないと思います。
 こういう状況のなかで、消費税に頼らない別の選択肢がありますよ、ということを示すことそのものが、今度の大増税計画を阻止する世論と運動に、大義もあれば道理もあることを提供することになると思います。そういう抜本的対案として作成したのがこの「提言」でありまして、そういう角度から使っていただければと思います。
 同時に、これは政治の姿勢を変えれば実行することができるものです。民主党のマニフェストのように実現不可能なものではない。本気で実行するという立場に立って、無理のないものをどう作るかということで考えたものでもあります。ほんとうに国民のみなさんの合意があれば実行することができるという内容にもなっているということを、申し上げたいと思います。
 そのうえで、出されたご意見はたくさんありますが、時間の許す限り、お答えさせていただきたいと思います。

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外交問題について─国際的道理に立った方針と活動

閉会あいさつ・志位和夫委員長

 まず西陣織工業組合の村山さんから、消費税増税、TPP反対とのご意見と合わせて、「共産党は外交を含めて公約を示してほしい」とのご意見がありました。財木さんからも、「共産党は外交どうするのか。千島問題もふくめてどうするのか」というご意見がありました。私たちは、日本外交をどうするかという全体のビジョンも示し、さまざまな行動をしてまいりました。
 千島問題について申しますと、私たちは、いわゆる「4島」だけではなくて、カムチャッカ半島の手前の北千島もふくめて、千島列島はすべて日本の固有の領土だという立場で交渉すべきだと主張してきました。日本とロシアとの間で平和的に決められた最後の条約は、1875年の樺太・千島交換条約です。この条約によって、千島列島は北千島を含めて日本領と決められました。ところが、第二次世界大戦の戦後処理のときに、「領土は拡大しない」という大原則を破って、ヤルタの秘密協定でスターリンが「千島をよこせ」という覇権主義をあらわにする。アメリカとイギリスもそれに同意してしまい、戦後結ばれたサンフランシスコ条約で日本は千島列島を「放棄」してしまう。これは「領土は拡大しない」という戦後処理の大原則を踏み破る誤りでした。そこまでさかのぼって、全千島の返還を要求するという立場で対ロ交渉をやるべきだ。そうしてこそ解決の道が開かれる。こう千島問題では主張しています。
 尖閣諸島は、日本領だということは明瞭です。問題は、日中国交回復以降、日本政府として中国側に一度も日本領だということを理を尽くしていったことがないことにあります。いろいろなことを、日本の中では言っているが、中国に対して言っていない。それをちゃんと言わなくてはだめだと提起しています。
 竹島について言いますと、私は、訪韓した際に韓国の政党代表と会ってむこうからこの問題が提起され議論になりました。私たちは、1970年代に竹島が日本の領土だというのは歴史的根拠があるという立場を表明しているということを率直にいいました。ただこの問題については、韓国を植民地にしていく過程で竹島の領有がおこなわれたことも事実であり、植民地支配の反省の上に立って、共同研究をしようではないかと、私は提案いたしました。おそらく韓国にいって、竹島の問題を、そういうふうに言える党は日本共産党しかないと思います。
 北東アジアの平和の問題、領土の問題などについての政策は、それぞれ出しているんですが、ぜひまとめてお示ししたいと思っています。
 それからいま北朝鮮が、いわゆるロケットを発射するということが問題になっていますが、私たちはこれは国連安保理決議違反だということで、日本共産党と朝鮮労働党とのあいだは党と党との関係は断絶状態になっておりますが、そういう状態であっても北京の「しんぶん赤旗」支局をとおして、北朝鮮政府に直接、私の声明を届けて、発射すべきではないという外交活動をやるなど、関係諸国、日本政府に対して、外交的解決のためのさまざまな活動を行ってきたということも申し上げておきたいと思います。
 経済の問題とともに、外交の問題も、大きな方向では、アメリカ言いなりはやめよう、いろいろなもめごとがあっても、憲法九条の精神で、軍事ではなくて外交的な手段で解決していこう。東南アジアのASEANでおこっているような平和の共同体の流れを北東アジアでもつくるように努力していこう。外交についても、いまの行き詰まりを打開する道を示していきたいと考えています。

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消費税増税は雇用破壊を拡大する

 弁護士の岩佐さんから、消費税というのは非正規雇用労働者を増やすという指摘がされました。まさにその通りだと思います。
 賃金には消費税を上乗せして払っているわけではないので、「仕入税額控除」の対象にはなりません。ところが、労働者を派遣労働者にきりかえて、賃金のかわりに派遣会社に「派遣料」を払う形に変えますと、派遣料には消費税がかかるので、「仕入税額控除」の対象となります。そうすると税務署に納める消費税が減るということになる。こういう仕掛けで、正社員から非正規社員の流れを加速する。まさに消費税は、「雇用破壊税」でもある。こういう部分を含めて、私たちは消費税の問題点を明らかにする努力をやっていきたいと思います。

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わかりやすい宣伝物をというご意見に

 それから鳶工業組合の榎本さんから、ご意見いただきました。トータルで情報が入ってこないので、わかりやすく説明してもらいたいという話がありました。今日も一生懸命話したつもりですが、わかりやすい宣伝物を作って国民のみなさんに、ぱっと一目で見て私たちの考えをわかっていただくし、消費税にかわる道がありますよとわかっていただくものを、工夫していきたいと思っています。

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大型公共工事や軍事費について

 建築設計の川下さんから、ご意見をいただきました。率直なご意見ほんとにありがとうございました。私たちはもちろん、大型公共工事すべてを否定しているわけではございません。この問題では、私の説明が不足したかもしれませんが、「提言」ではかなり具体論で言っているのです。たとえばダムについて言うと、八ツ場ダムのような、治水にも利水にも、どう考えても無駄だということが明瞭になっているものはやめていこうではないか。やめる場合にも地元の方々の生活はどうするのかという問題がありますから、一つ一つ丁寧に解決していきながらやめていこうと考えます。それから、巨大国際コンテナ港湾──どう考えても無駄としかいいようのない港湾の計画があります。それから、東京で大問題になってる1メートル1億円という巨大道路──40年間凍結していたものを復活させる動きがある。これらにはメスをいれることを具体論で出しています。
 「公共事業はすべて悪」という立場ではもちろんありません。こういう無駄な巨大開発をやめて、地域に密着した福祉・生活型の公共事業に中身を切り替えていこう。これが私たちの主張です。

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安保条約と軍事費の問題について

 それから、軍事費について、私たちは日米安保条約はなくすべきという立場です。日米安保条約はけっして日本を守るものではない。逆に日本を拠点にして海外に攻め込むものになっている。イラクもアフガニスタンもそうではないかということを言っております。
 最近、緒方副委員長がフィリピンに行きました。フィリピンではスービックとクラークという2つの米軍基地をなくしました。それでフィリピンが困ったことになっているか。まったくそんなことはありません。たとえば、中国との関係で、いろいろと紛争問題は起こることがあります。しかし、どれも外交的手段で解決しているとのことです。たとえば南シナ海の西沙諸島、南沙諸島などの問題があります。しかし、ASEANと中国との間で、これも外交的な解決の枠組みが「行動宣言」という形でつくられていて、そこで問題を解決するということになっています。
 21世紀の世界は、もめごとがあっても、軍事で対応するのではなくて、平和的手段、外交的手段で解決する──そういうことが可能な世界になっているし、ASEANではそういう大きな流れが起こっているのです。ASEANのような平和の共同体、外部に仮想敵をつくらない、外に開かれた平和な共同体を、北東アジアにもつくっていきたい。そのために、6カ国協議と言う枠組みを、困難はあっても再開させていくことが大切です。そういう努力と一体に、日米安保条約をなくしていこうとの展望をもっています。
 ただ、この「提言」は日米安保条約をなくすということを前提としたものではありません。安保廃棄か、安保賛成かといいましたら、まだ賛成の方が多いと思うんですよ。そういうことも考えて、この「提言」では、安保条約が存続しているもとでも、まず軍事費は1兆円は削れる。たとえば米軍への「思いやり予算」です。これは出す法的根拠がないものです。自衛隊については、自衛隊員の隊員数を減らすところまでは「提言」は考えていないんです。ここにありますように正面装備を減らしていくことを言っています。新型戦車とか潜水艦とか、これらは明瞭な浪費だと考えています。私は、かつて国会で、「戦車はいったい何に使うのか」と聞いたことがあります。政府は答えられないんですよ。戦車というのはだいたい、日本にどこかの国が上陸してきて、それを「迎え撃つ」時に使うものなんですけども、日本に上陸するような国というのは考えられないでしょう。それから潜水艦です。海上自衛隊の潜水艦は、だいたい16年というきわめて短期で退役させるのです。それは、軍需産業を儲けさせるためだけとしか考えられないものです。こういう無駄遣いをなくしていこうじゃないかというのが、「提言」の考え方です。
 日米安保についての是非はいろいろあっても、これぐらいの削減はできるのではないかというものになっております。まずはこれぐらいの削減をやりながら、安保の是非の問題は一定の時間をかけて国民のなかで議論をかさね、廃棄の合意をつくっていきたいというのが私たちの考えです。
 ここには、安保賛成の方も反対の方もいらっしゃると思います。軍事費のあり方もいろいろあると思います。しかしいま消費税増税計画には、これはいくらなんでも困るよというところで、ぜひご協力願えたらということで、心からお願いしたいと思うしだいです。

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インターネットの活用について

 オレンジシステムの方から、共産党がテレビ局をつくったらどうかというご意見がございました。実は、日本には放送法というものがありまして、勝手にテレビ局は作れないものですから、なかなか作りたくてもできないですが、やっぱりインターネットをもっと開拓して、いまYouTubeやニコニコ動画に共産党チャンネルというものを持っておりまして、是非見ていただきたいと思うんですが、インターネットも大いに開拓していきたいと考えております。

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民主連合政府への第一歩を踏み出す選挙に

 ぜひ「共産党は、こういう目標をもって頑張る」という話を聞かせてほしいというお話がありました。
 今度の総選挙は、民主党に期待をかけてきた方ががっかりしてるもとでの選挙だと思うんですね。かといって自民党に戻るわけにもいかない。橋下さんが「国政進出」といっています。しかし橋下さんが言っている中身は、新しいことは何にもないんですよ。これまで財界が言ってきたことを、8つ並べただけだと思います。そこにたいへん危ない「思想調査」などが混じっている。そういう流れで、決して私は新しい流れなどとは思いません。
 今度の総選挙は、「自民か、民主か、どっちか選べ」と「2大政党づくり」の大キャンペーンがやられてきましたが、いまや2大政党がどーんと陥没してますでしょう。陥没しちゃった理由は、あまりに外交はアメリカ言いなり、内政は財界中心だと。ここの根っこが腐ってきたんだと思います。この腐った根っこを、大もとからかえようという志を持った政党が日本共産党です。この党を伸ばすことで本当の政権交代――民主連合政府と言っていますが、「国民が主人公」の本当の民主的政権ができる第一歩を刻むようなたたかいをやっていきたいと思いますので、こくたさんをはじめ、京都からの大躍進のためにお力添えをどうかよろしくお願いいたします。

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中小企業の苦労と役割─消費税増税は許せない

 エビスク協同組合の上田さんの方から、利益を出して社会貢献をしていきたいというお話がされました。ほんとにこの言葉を聞いて胸がじーんとしました。
 いまの中小企業のみなさんの73%が赤字なんですね。懸命に頑張っても73%が赤字というのは正常な状態ではありません。多くの中小企業が黒字になって、当然そのなかから税金も払えるようになる。これが当たり前の状態だと思います。そういう状態にするために、「提言」の中でも中小企業政策、たとえば中小企業予算に1兆円をつける。販路開拓、技術支援、後継者対策、金融対策をしっかりおこなう。
 小泉内閣が「不良債権処理」といって、ばたばたと地域金融機関がつぶされて大変になっているというお話がでました。私は、千葉県の船橋市に住んでいるんですけど、船橋信用金庫というのがありまして、「フナシン」と親しまれ、地元の中小企業を育てる仕事をやってきた信用金庫だったんです。「フナシン」を守れというたたかいをやりましたが、「小泉・竹中ライン」でつぶされまして、苦しい状況になっている。
 中小企業への金融支援を含めて、抜本的対策を行うということは「提言」の中でもしっかり位置づけておりますが、利益を出して社会に貢献できるような会社にしたいというお気持ちに答えられるような政治にしていきたいと決意しております。
 電気工事の藤井さんからは、地域の建設業の問題でご発言がありました。これを崩壊させていいのか。本当に大事な使命を地域の建設業が担ってがんばっている。これは地域の宝じゃないかといわれましたが、本当にその通りだと思います。中小企業、建設業のみなさんがこういう思いでがんばっておられるところに、ドカーンと消費税をかぶせるということは本当にやってはいけない。
 建設業ひとつとっても、消費税増税をやったら、住宅建設は落ち込みます。住宅リフォームも落ち込みます。1997年の増税の時には、住宅建設がどーんと落ちてそれが長く続きました。やっぱり大きな買い物はうんと落ちますよね。消費税増税は、地域の仕事をなくしてしまうという点でも許すわけにはいかないと言うことを強く思いました。
 藤井さんから入札制度の問題も言われました。入札制度は一般競争入札が完全に自由化されて大きな企業に仕事を持って行かれてしまうという事態が、あちらこちらで問題になっています。入札制度の問題は、やはり地元の建設業、中小企業のみなさんがきちんと受注できるような規制を設ける必要がある。大手のゼネコンがみんなもっていっちゃうという仕組みを抜本的に見直す必要があるという立場で、私たちも全国的にとりくんでおります。さらにTPPに参加しますと、政府調達――官公需にもアメリカのゼネコンが入ってくる。これをやられたら、本当に日本の産業は食いつぶされてしまいます。建設業のみなさんの発言を聞き、この分野の未来を考えても、消費税増税は何としてもくいとめなければならないと考えるしだいであります。

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消費税増税をやめさせる一大国民運動を

 八木さんから、「提言」はまだまだ国民に知られていない。大いに普及し、共同して大きな力となるようにと言われました。こういう懇談会は、私も先頭にたって、全国でもおこなって、消費税に頼らない別の道がありますよと、大いに訴えていきたいと思っています。
 私たちの「提言」に、全部は一致できない、ここには異論がある、という方も含めて、まずは野田政権のやろうとしている消費税増税反対の一点で、この一点共同をうんと広げたいと思っています。4月12日には東京・日比谷野外音楽堂で大集会が予定されていますが、これを皮切りにして全国津々浦々で増税反対の一点で草の根からの運動を起こしていきたい。政治的立場の違いをこえてまずは増税をやめさせる。同時に、消費税増税に頼らない別の道について大いに議論していく、懇談会も同時並行で進めて行きたいと思っています。
 増税反対の声が50数%から60%です。ここまで反対の声が大きいものですから民主党の中もがたがた、国民新党と民主党の間もがたがたでしょう。自民党も増税賛成だけどなかなか民主党の案に賛成とは言えないんです。国民のものすごい圧力が働いているから、こういう状況がつくられている。この圧力をもっと大きくして、まずは消費税増税計画をつぶす。同時並行で、それに変わる道を大いに議論して見出していく。私たちの「提言」がその力になればと願っております。日本共産党もっと頑張れとの激励もいただきました。おおいにがんばっていきたいと決意をのべて閉会のあいさつといたします。ありがとうございました。

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