自立支援法 障害者自立支援法を恒久化する「障害者総合支援法案」の国会審議が進められる中、同法違憲訴訟をたたかった原告や弁護団、支援する関係者らが27日、京都市内で街頭宣伝し、「政府は約束を守り、当事者の思いを反映した新法をつくって」と呼びかけました。
 同法案は、自立支援法を廃止するとした違憲訴訟団と国との基本合意(2010年1月)をほごにし、障害が重い人ほど重い負担となる「応益負担」を課す現行法の根幹部分を温存しています。26日の衆院本会議で民主、自民、公明などの賛成多数で可決され、参院に送付されました。
 宣伝は、基本合意を受けて昨年8月にまとめられた「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言―新報の制定を目指して―」(骨格提言)を尊重した障害者法の制定を求めている「障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全合意をめざす京都の会」が呼びかけたもので、約20人が四条河原町で訴えました。
 原告の田中亨さん(27)の母親、田中美佐子さん(54)は、「自立支援法がつくられた時と同じように、再び当事者の声を無視して決めようとしている。息子も悔しい思いをしている」と訴えました。京都訴訟弁護団を務めた民谷渉弁護士は、「大臣が公印を押した文書の約束が守られていない。関係者すべての思いをふみにじっている」と批判。障害者福祉論が専門で、違憲訴訟を支援してきた鈴木勉・佛教大学社会福祉学部教授がマイクを握り、「障害者が生きるために必要なケアを受けることは、社会全体の利益に資するものではないのか。子どもの保育、高齢者の介護と併せて、私益か公益か、福祉サービスに対する考え方が問われている」と話しました。