橋下「日本維新の会」の危険〈上〉 (1)福祉・生活保護
橋下氏のめざすものと同会の実態について、京都の各団体関係者の危ぐの声を紹介します。
橋下氏は8月に発表した政策「維新八策」で、生活保護制度の抜本改悪をめざし▽支給基準の見直し▽保護の打ち切りにつながる「有期制」▽生活扶助費、住宅扶助費などの現物支給化▽現役世代に就労などを義務化▽無料で受診できる医療費への「自己負担」の導入│を明記しました。
自己責任論で制度改悪
「八策」には、生活保護が憲法25条で保障された生存権に基づく権利であるという視点は、全くないと思います。
「支給基準の見直し」に始まり、「有期制」「医療費の自己負担」など、いずれも給付抑制、財政抑制が先行した政策でしかありません。
橋下大阪市長が任命した鶴見区の区長が、生活保護費の支出抑制を唱えるとともに「受給者による労働の対価と捉える」と宣言。憲法25条を真っ向から踏みにじる暴言を述べました。憲法も理解できない区長を任命した橋下氏の責任が問われる問題です。
このほかにも、橋下市長は、既に受給している世帯に対して、生活保護バッシングに乗じて、保護利用の要件ではない扶養義務について再度聞き取り調査を実施。受給抑制を図ろうとしています。
こうした一連の動きの根底にあるのは、自己責任論であり、弱肉強食の新自由主義路線です。現在、厚労省では保護費基準の引き下げや扶養義務強化など、制度そのものを改悪する論議が行っています。「八策」の提起は、国の改悪の動きを一層加速させるもです。
京都市では、生活保護受給者の占める割合は、政令市の中で3位です。市の厳しい経済状況を反映した結果です。こうした経済状況や他の社会保障制度の現状を改めることをせずに、生活保護費だけを抑制すれば、餓死者や自殺者が続発し、社会不安を招くことは必至です。
全国とりわけ京都にとって、「八策」が掲げる生活保護制度改悪は絶対に認められません。(「週刊しんぶん京都民報」2012年9月23日付掲載)