「石原」「橋下」「安倍」─日本の右翼化の流れ止めよう 京都の有識者8氏がアピール発表
安斎育郎立命館大学名誉教授(平和学)、尾藤廣喜弁護士、宮城泰年本山修験宗管長、宮本憲一元滋賀大学学長ら京都にゆかりのある有識者8氏が呼びかけ人となり、30日、「『石原』『橋下』『安倍』――私たちは、日本の右傾化を憂い、その流れを止めることを訴えます」とのアッピールを発表しました。他の呼びかけ人は、岩井忠熊立命館大学教授(歴史学)、小笠原伸児弁護士、藤沢薫(俳優・演出家)、望田幸男同志社大学名洋教授(ドイツ近現代史)の各氏です。アピール文全文は次の通り。
「石原」「橋下」「安倍」――
私たちは、日本の右傾化を憂い、その流れを止めることを訴えます
いま、日本の右傾化が急激に加速していることに、私たちは強い危機感をもっています。
「国政の矛盾の最たるもおは、占領軍が一方的に与えた醜い日本語でつづられた憲法」「核兵器に関するシミュレーションぐらいやったらいい。これは一つの抑止力」「日本の生きていく道は軍事政権をつくること。徴兵制もやったらいい」。公然と言い放つ石原慎太郎氏。
「私が民意」。選挙に勝てば白紙委任されたとして民主主義を否定し、弱者切り捨て、文化破壊、憲法違反の条例制定など、人権無視の独断専行をすすめる橋下徹氏。「医療、年金、介護、社会保障が日本をつぶす一番重要な原因」とまで言い始めました。
そして、憲法改悪と集団的自衛権の行使、海兵隊の新設、慰安婦問題についての「河野談話」の破棄、靖国神社への参拝などを公言してはばからない安倍晋三氏。その右傾化ぶりは、元自民党総裁の河野洋平氏が、「かつての自民党には護憲派もいたのに、今の自民党は改憲派ばかり。保守の中の『右翼』になり、ずいぶん幅の狭い政党になった」と嘆くほどです。
私たちは、こうした状況を、「一過性のもの」として見過ごせない危うさを感じています。
京都でも、現憲法の破棄と大日本帝国憲法への回帰、日本の核武装を主張し、「家庭の崩壊は憲法9条のせい」とする自民党・参議院議員、大臣として改悪教育基本法を先導した自民党・衆議院議員、「憲法9条は緩んだゴムバンド」として集団的自衛権の行使を叫ぶ民主党・衆議院議員、大阪府・市の悪名高い憲法違反「3条例」を京都で制定することをめざして日本維新の会と協定した京都維新の会など、戦前戦中を想起させる政治家の台頭が顕著になりつつあります。
この国では、長い間、人間らしく働き、暮らす権利が無視され続け、近年は非正規雇用が拡大し、社会保障が次々と切り捨てられてきました。格差がますます拡大し、地域経済・雇用、福祉・医療など、様々な分野で市民の生活が危機的な状況になっています。命さえ奪われかねない状況に、老いも若きも未来への希望が見出せない「時代閉塞状況」が続いています。
しかし、この閉塞状況から抜け出す道は、「日本社会のグレート・リセット」「戦後レジームからの脱却」などといって、現行憲法を破棄して戦前に回帰し、戦争のできる国づくりを進める方向であっては断じてならないと思います。
私たちは、主権者としてこの国の政治状況を直視し、勇気をもって良識を貫くべき時だと確信します。日本の右傾化の加速を食い止めるために、京都から敢然として声を上げましよう。
【呼びかけ人】
安斎育郎(立命館大学名誉教授、平和学)
岩井忠熊(立命館大学名誉教授、歴史学)
小笠原伸児(弁護士)
尾藤廣喜(弁護士)
藤沢薫(俳優、演出家)
宮城泰年(本山修験宗管長)
宮本憲一(元滋賀大学学長、大阪市立大学名誉教授)
望田幸男(同志社大学名誉教授、ドイツ近現代史)