巨椋干拓池のペンペン草
1月になってからも雨が降らない日々に低温が続き、ホウレンソウやレタスなどの葉もの野菜だけでなく、野山の雑草達も少しバテ気味で、緑の葉っぱの育ちが遅いようです。
春の七草の1つ、ナズナの青い葉っぱも少し縮れたり、地面にぴったり張り付くようなロゼット型の葉っぱもまだ不揃いです。写真は久御山町にある巨椋干拓地の巨大な排水機械場付近の畑畦地に小さな花を咲かせているナズナです。
ナズナ(アブラナ科ナズナ属:Capsella bursa-pastoris)の和名(薺)は色々あって、「撫菜」(ナデナorナゼナ=撫たいほどの可愛いいと愛された)、平べったい逆三角形の実が三味線の撥(バチ)に似ているので「三味線草」(シャミセングサ)、小さい子らはその音色から「ペンペン草」ともいい、夏は枯れるので「夏無」(ナツナ)とも言われ、あちらこちらの空き地や荒れ地などに生えるので、「ペンペン草も生えぬ土地」と可哀想に「貧乏草」(ビンボウグサ)と最悪の名前もあります。花期は3月から6月で、太陽の日をいっぱい浴びようと地面に這うように咲く広げた葉。茎は10~50センチほど伸びて、柄のある白い小さな十文字型の花を散りばめます。
昔、柔らかい若葉は天皇や貴族などの食卓にも出されるほど好まれ、また庶民の貴重な葉菜で、薬用にも用いられたと伝えます。七草は若菜を摘んで他の草と一緒にお粥にして食べます。飽食し、アルコールの正月料理ですっかり弱った胃腸を整えてくれる効果抜群で、京の町衆が7日に熱い七草粥を食べて身も心も温まめらる風習が今も伝えています。(仲野良典)
「一とせに一度つまるる菜づなかな」(芭蕉)
「馬子ぶしの古き追分け夕陽さし ぺんぺん草の二三本の花」(北原白秋)