ハルジオン 気温が低かったゴールデンウィークもアットいう間に過ぎて平常の日々に戻りました。ここ伏見は十石舟が遊覧する宇治川派流や伏見城外堀の濠川と二条木屋町からの東高瀬川の三川が合流する付近に、可憐なハルジオンが咲いています(写真:アゲハチョウがとまってる)。
 ハルジオン(学名:Eringeron philadephicus)は、キク科ムカシヨモギ属で北アメリカ原産の多年草です。仲間にはヒメジョオン、ヒメムカシヨモギや北海道のアポイアズマギクなどたくさんあります。ハルジオンの頭花は白か淡紅色で可憐でとても綺麗です。これにそっくりなのがヒメジョオン(一年草)です。背丈はハルジオンより少し大きくて葉っぱは茎にまいていませんし、茎の中はハルジオンはからっぽですがヒメジョオンは白い綿のような髄が詰まっています。花を付ける時期もハルジオンは4月から6月頃、ヒメジョオンは6月から夏を越して10月頃まで咲いています。
 ハルジオンは大正時代に観賞用として輸入され、東京で栽培されたのですが、逃げ出してたちまち各地に広がりました。ヒメジョオンの方は明治初期に渡来して全国各地に広がりました。現在では後から渡来した鑑賞価値が高いハルジオンの方が勢力をのばしているようです。どちらも都市近郊の土手や道ばた空き地から農村地帯まで広く咲いて今では雑草扱いになっているようです。
 一方、日本古来から親しまれいるシオン(紫苑:キク科シオン属)は平安時代には根っ子は咳止めの薬草としても重宝がられたようです。
 さて、漢字名ではハルジオンは春に咲く紫苑なので「春紫苑」、ヒメジョオンは「姫女苑」(女苑は中国産という意味がありますが、ヒメジョオンの原産地は北米で中国経由で渡来したのかも)でヒメジオンとは言いません。ヒメムカシヨモギは無数の花を付けますが観賞用にはならないようです。明治時代に渡来したので明治草とか御維新草や鉄道で全国に運ばれたので鉄道草ともいわれているようです。可愛いいハルジオンを「貧乏草」とか「貧乏花」なんて失礼な名前もあるようです。(仲野良典)