来年夏の参議院選挙で日本共産党比例代表候補 (活動地域=京都府、 東海・北陸信越) としてたたかう井上さとし参院議員・参院国会対策委員長 (48)。 初当選から5年間、 小泉政権の悪政と真正面から対決してきました。 「憲法と命輝く政治をつくる」 を原点に、 10府県を駆け巡って奮闘する井上さんの実績を紹介します 。
格差社会是正へ論陣  「痛み」押しつけを追及
 井上議員 「負担増による障害者の退所、 施設経営をゆるがす報酬の激減など全国で悲鳴が上がっている。 ただちに実態を調査し、 制度を見直すべき」
 小泉首相 「さまざまな実態を含めて調査する必要があると思っている」  7日行われた参院決算委員会。 井上さとし参院議員は、 障害者自立支援法が実施後わずか2カ月で障害者の 「自立」 を阻む重大な問題を引き起こしていることを党国会議員団の緊急調査をもとに告発。 小泉首相は、 「まだ3カ月もたっていない。もう少し時間が必要」 と渋りながらも、 実態調査の必要性を認めざるを得ませんでした。
 小泉首相の任期中、 最後の直接対決。 井上さんは言います。 「自立支援法は、 『痛み』 押しつけ、 格差社会拡大の小泉政治の象徴といえるもの。 実態をぶつけ、 何としても首相に見直しを迫りたかった」。 テレビ中継を見た、 京都市内のある通所授産施設の所長は、 「小泉首相は 『まだ3カ月』というが、 施設は大幅減収で危機的状態になるなど現場は大混乱です。 もっと実態をぶつけてほしい」 と語ります。
  財界・大企業いいなりの 「構造改革」 で格差社会を拡大、 アメリカいいなりで自衛隊の海外派兵、 憲法・教育基本法改悪に突き進む  2001年の初当選以来、 井上さんの国会議員活動の5年間は、 そのまま小泉政権による悪政とのたたかいの連続でした。 「確かな野党、 日本共産党の前進なしに政治は変わらない。 今度の選挙は憲法改悪、 大負担増計画と対決する命のかかったたたかいです」。 たくさんの願いを胸に決意新たに挑みます。      
不正・金権腐敗を暴く  綿密な調査、大きな反響 
 綿密な調査にもとづき、 政府の不正や金権腐敗を暴く  井上質問にはマスコミも注目します。
  「防衛施設庁が圧力メール? 共産が指摘」。 2月1日、 共同通信の配信記事に注目が集まりました。 在日米軍再編をめぐり防衛施設庁が、 関係自治体と折衝する現場責任者に地方議会の動きを監視し、 反対決議を阻止するようメールで指示していた  同日の参院予算委員会でこの問題を取り上げたのが井上さんです。
 同庁職員から内部告発で寄せられたメールを裏づけ調査をもとに追及。 質問後、 米軍基地を抱える県の地元紙記者が相次いで取材に訪れ、 「沖縄は米軍再編の主舞台である。 民意を反映する地方議会、 地方自治への姑息な介入ではないか」 ( 「沖縄タイムス」 2月3日付) と社説に取り上げられるなど反響を呼び、 後日防衛施設庁はこの 「圧力メール」 送信の事実を認めました。 折りしも、 民主党・永田寿康元衆院議員の偽メール追及で国会が揺れる中、 同じメール追及でも好対照をなし、 野党の質問のあり方を示しました。
 金権・腐敗政治追及委員会事務局長として、 「政治とカネ」 をめぐる問題で追及の先頭に立ち、 ▽橋梁工事の談合組織から自民党への政治献金▽文科省施設工事部門の天下り組織による談合疑惑▽森派の 「モチ代」 隠し疑惑▽日歯連の迂回献金疑惑、などを取り上げてきました。
被爆地・広島を原点に  国会議員でただ1人05年NPT会議に参加
 被爆地・広島で育った井上さん。 卒業した高校は爆心地に近く、 多くの先輩たちが一瞬で命を落としました。 「多くの犠牲の上に築かれた憲法9条を守り、 生かす日本をつくりたい」。 活動の原点です。
 被爆60年の昨年、 ブッシュ政権が開発する地中貫通型核兵器について、 被爆国政府として中止を求めるよう追及。 しかし、 「いちいちこの研究はいいの悪いのということを言う立場にはない」 (町村信孝外相・当時) という答弁に、 井上さんは 「被爆国の外相の資格はない」 と厳しく批判しました。 同年、 国連本部で開かれた核不拡散条約 (NPT) 再検討会議には日本の国会議員としてただ1人参加。 ニューヨーク市内のパレードや核軍縮議員ネットワークの国際会議で核兵器廃絶を訴えました。
現場の声を国会へ  幅広い分野の質問180回
 04年に参院国会対策委員長に就任。 議席が9人に後退したもと、 党参院議員団の要として奮闘します。
 1期目の質問回数は180回とトップクラス。 全国各地を駆け巡り、 国民の苦難、 「痛み」 の現場の声を国会へ届けてきました。 2004年の台風23号被害では、 兵庫、 京都の被災地を調査。 同年の中越震災では、 地震翌日に現地に駆けつけて被害の実情や住民の声を聞き、 いずれも国や行政に生活再建、 被災者救援を求めました。 北陸各地の豪雪被害では、 融雪費用の控除や除雪対策費の増額を要求。 質問後、 新潟県内のある市助役から 「雪国出身でない井上議員なのに、 雪国の生活がよく分かっている」 と感謝のメールが届きました。  
  「さまざまな問題、 人権に政治の光を当てる」。 井上さんの議員活動のもう1つの特徴です。 法務員委員会に所属し、 「明治以来の大改革」 といわれた司法制度改革に取り組むとともに、 ▽政府の難民受け入れの基本姿勢の改善▽受刑者への人権侵害の是正▽性同一性障害者の戸籍変更を認める特例法の制定に尽力し、 当事者の意見を生かした運用を約束させる、など幅広い分野で政府の姿勢をただしてきました。 (真下哲)
(「週刊しんぶん京都民報」2006年6月18日付掲載)


 問題点の告発全国をはげます
 井上吉郎・「WEBマガジン福祉広場」 編集長の話 
 昨年来、 障害者自立支援法の異議申し立ての運動を京都で続けています。 井上さんは、 私たち事務局が案内した集会などにほぼすべて参加され、 障害当事者や家族、 施設関係者の声をしっかり聞いていました。 今回の小泉首相への質問もこうした積み重ねがあったからだと思います。
 自立支援法はまさに小泉政治の総決算というべきものです。 質問時間すべてをつかって、 この法律による問題点を告発したことは、 全国の障害分野にかかわる人を励ましたと思います。 そして、 日本共産党の議席が国民の利益を守る議席であることを証明したと思います。
 被爆者の苦悩分かる政治家
 京都原水協・田渕啓子さんの話
 被爆60年の昨年、 日本原水協の中央行動に参加し、 京都で原爆症認定訴訟をたたかう寺山忠好さんの原爆絵本 『こぎゃんことがあってよかとか』 を井上さんに手渡しました。
 井上さんは、 翌日行われた同訴訟支援の交流集会で絵本を紹介しながらあいさつされました。後日、ホームページでこの日のことを、 「高齢の被爆者のみなさんが 『生きている間に原爆症認定を』 と起こした訴訟に国は7連敗しているにもかかわらず、 認定基準を改めようとしません。 被爆60周年の節目の年である今年こそ改めなくてはなりません」 と書かれていました。
 被爆地・広島出身の国会議員として、 被爆者の苦しみや核兵器をなくそうという思いが伝わり、 あたたかいものを感じました。
 キレのある論戦の場をもっと
 弁護士・元日本弁護士連合会副会長・川中宏さんの話
 私が日弁連副会長時代にかかわった司法改革は、 裁判員制度の実施や法科大学院の設置など明治以来の大改革となりました。 議論の舞台は、 井上さんが所属する法務委員会でした。各委員の質疑をめぐって、 日弁連の弁護士は辛口の評価をする人が少なくないのですが、 「井上さんの質問はいつも的確で分かりやすい」 と高い評価でした。
 裁判官の増員要求にかんし、 最高裁を追及した質問では、 後日、 その議事録が資料として日弁連で配布されたこともありました。 ともすれば、 地味で目立たない分野ですが、 よく準備をされ、 常に国民の視点で迫る論戦でした。
 議席を増やし、 井上さんのキレある質問の場をもっと増やしてほしいものです。