厳しい冷え込みに満開の寒桜
京都の街は連日12月下旬を思わせる厳しい冷え込みが続いていますが、左京区の府立植物園には寒風にもめげず、同園の桜ゾーンにはフユザクラ、ジュウガツザクラやシキザクラなどの寒桜が美しい花が満開です。コヒガンザクラ(別名ヒガンザクラ)の園芸品種ジュウガツザクラが小枝にピンクの花をいっぱいつけています(写真)。冷たい北山颪にさらされ、まるで氷のように透き通った花びらが小刻みに揺れている姿は妖精のようです。このサクラは4月上旬と10月から春先までの年2回咲きます。10月頃から咲き始めるのでジュウガツザクラ(十月桜:学名はP.xsubhirtella cv.Autumnlis)。花は直径が1.5~3.5センチほどの楕円形や卵形の八重の花弁をつけます。今咲いている花は春の花よりも少し小形で小花柄も短いです。
ジュウガツザクラの隣にはフユザクラ(冬桜、別名に三波川冬桜、不断桜や寒桜:学名=Prunus x kanzakura)があります。このサクラはオオシマザクラとマメザクラの雑種といわれています。淡紅色の花が葉っぱがでる前か同時に開花します。同植物園の花色は真っ白でジュウガツザクラよりも大きめです。フユザクラの近くに、シキザクラ(四季桜)が咲いています。シキザクラはマメザクラとエドヒガンの交配品種で一重の小さい花が秋と春の二季つけます。ヒガザクラによくにており、小木で枝は細く花はガク筒でくびれがあります。10月頃から開花し始め厳冬の冬を越して春先まで花をつけます。
厳冬の同植物園には草木の花はほとんど無く、また訪れる人もちらほらとなって、寒風騒ぐ森林となっています。詩人の陽春は「見る人もなくて哀れや寒桜」と詩っています。一方、与謝野晶子は「寒さくら表面の恋と人もいへ 伴(ともな)りて散るもならなくに」と詠んでいます。(仲野良典)