ブラックバイトに未来はない 伏見龍大で講演会
「就職に関する講演会」が27日、龍谷大学で開催されました。龍谷大学教職員組合と地元伏見地区労働組合協議会、伏見ふれあいユニオンの主催。龍谷大学当局だけでなく、労働組合サイドから、最前線で働く現場先輩達の経験、現状や心構え、教訓などを聞き就活に役立てて欲しいと始まったもので、今年で9回目を迎えます。
龍大教組の北村高委員長が開会あいさつ。中京大学教授の大内裕和さんが「若者にとって生きづらい社会に立ち向かう!~ブラック企業、ブラックバイト、ブラック奨学金を例に」と題して講演しました。
大内さんは、大学教員として自身のゼミ講義運営の中で、年々困難を感じてきた経験からブラックバイト問題に関わるようになったと述べ、「学生はアルバイトを優先して時間割を組む。試験前や試験中にアルバイトのために勉強できない、アルバイトのために授業を休む、あげくにアルバイトのために試験すら受けられない学生が出現し、学生のアルバイトが今や大きくに変化しているのが現状」と紹介しました。アルバイト問題は重要な問題であり、課題だと述べました。そして、実態調査やアルバイト経験談を収集する中で、ブラックバイトはブラック企業と地続きであり、日本の学生若者の未来を奪っている大きな問題であるとの認識を語り、早急に解決しなければならない課題だと強調しました。
学生の生活費は、親からの仕送り減、学費の高騰などで、最高だった1990年度の1日2460円から2013年には1日937円にまで落ち込んでいることや、奨学金を借りている学生は1998年の23.9%が2012年には52.5%に上昇し、有利子奨学金創設と民間銀行参入など奨学金制度の度重なる改悪が一層未来を奪い困窮させていると具体的な資料を示しました。
同時にアルバイトの劣悪な労働条件が現職にも及び、ブラック企業を生む一因にもなり、何百万円もの返済があるためにブラック企業を辞めることもできず、結婚すらもできない現実を告発しました。
今後の課題として、ブラックバイト問題をブラック企業との関連も含めて、社会に広く知らしめ、行政・高校・大学との連携を強めること、高校・大学でも「労働法」教育をすることなどを提案。「給付型奨学金制度の導入」は根本的には国政レベルの問題だが、長野県では全国最初に自治体レベルで給付型奨学金制度を2014年度から導入したことなどから、来年の一斉地方選挙の争点の一つにしていくことも大切だと強調しました。
講演を聴いた学生は、「ブラックバイト、企業を減らすには社会が全体となってこの問題の解決に取り組まなければならないと強く実感した」などの感想が寄せられました。
第2部は各職種別の講演で金融(信金OB)・公務員(京都市職員)・民間企業(営業職)・マスコミ(KBS京都)・航空関係(元客室乗務員)の5つに分かれて講演と質疑応答がされました。
閉会あいさつで伏見地区労の板東利博議長が「プロ野球日本シリーズ開催中ですが、選手達全員が選手会、つまり労働組合をつくって、待遇改善や運営などについて大きな役割を担っています。労働組合のない会社に就職されることもあると思いますが、おかしいとか変とか思ったら私たち地区労などにぜひ相談してください」と呼びかけました。(仲野良典)