20141113-01.jpg 京の名所も紅葉の季節に突入しましたが、一足先にツワブキが神社仏閣の参道脇に咲いています。写真は左京区の真正極楽寺(通称=真如堂)の本堂参道脇のツワブキで葉っぱが大きいのでオオツワブキです。真如堂のツワブキの花も終わりで、これからは境内一円に見事な紅葉が広がってたくさんの紅葉狩りで賑わいます。派手ではありませんが門前や庭園など境内全体にわびを醸し出していいます。
 ツワブキは、キク科ツワブキ属で常緑多年草、日陰でも良く育ちます。葉に光沢があり、フキに似ているから、ツヤ(艶:光沢)フキ(蕗)→ツワブキの名前に(別名イシブキやツワとも)。本州福島県から西、日本海では石川県以西に古くから咲いており葉は、キャラブキとして賞味され、葉と茎は焙(あぶ)って腫物、火傷、痔の患部に貼ったり、また解毒剤など薬用としても利用されていました。
 江戸初期からは茶室への小径や前庭に植えられ何となくワビ、サビっぽい気を漂わせる効果があるようです。私たちが観るツワブキは海岸や海辺の山野に自生するツワブキを観葉植物として園芸用に改良したものがほとんどです。九州や屋久島、種子島などには葉っぱに切れ込みがあるカンツワブキが、沖縄国頭産のでっかい団扇のような葉っぱのクニガシラツワブキの固有種などたくさんの種類があります。(仲野良典)
 「石蕗(ツワ)の花咲きしまひたる日和かな」(虚子)