20150319-01.jpg 厳しい冬を乗り越え春を迎えた草花が一斉に青い新芽を出しはじめました。三十石船や十石船が行き交う伏見の宇治川派流添いにある伏見港公園手前の小径に、ショカツサイが紫の花を付けはじめました(写真)。地元のボランティアが小径の両脇に四季折々の草花を植え、十石舟の観光客や周辺を散策する人たちの目を楽しませています。
 ショカツサイは、ダイコン、ナズナやワサビなどを含むアブラナ科です。別名にはオオアラセイトウ、シキンサイ、ムラサキダイコン、ムラサキハナナ(園芸の名前)、ハナダイコン(別種のハナダイコンあり)などたくさんあります。それだけ身近な草本として人々に親しまれたのでしょうか。日本には江戸時代に中国から渡来し栽培された帰化植物です。
 ショカツサイはとても生育がよくてよく繁殖し群生します。写真の場所も一面に群生している場所で、関東を中心でしたが戦後急速に広まって今では全国各地に野生化しています。花は3月中旬から5月頃まで咲いています。 
 中国の伝説によると、ショカツサイ(中国名:諸葛菜)の名は三国時代の中国の蜀の丞相で名軍師であった諸葛孔明が十万の兵を引き連れ南征中の先々に種を蒔いて育てさせて兵の栄養補給にしたことから彼の名前をとって諸葛菜と呼ばれるようになったと伝えます。若苗をひたし物にすればホウレンソウに似た味がして美味しいらしいです。食べられるのでムラサキハナナ(紫花菜)とも言われ、花の真ん中の雄しべが黄色いのでシキンソウ(紫金草)とも。
 さて、名前にナ(菜)がついている野草はほとんどが食べられます。嫁菜、甘菜、西洋油菜、胡麻菜、豚菜、蕎麦菜や西洋芥子菜など他にもたくさんあるようです。(仲野良典)
 「諸葛菜咲き伏したるにまた風雨」水原秋桜子
参照・柳宗民著『柳宗民の雑草ノオト』他。