5月18日は「国際博物館の日」(*)。この機会に、趣味や研究を通じたコレクションを公開している、京都府内の私設博物館を紹介します。行楽シーズンを迎えるなか、親子で、または気の合う仲間を誘って、出かけてみませんか。

■懐かしい思い出奏でる400台

 福知山市大江町の府道9号を北上していると2階建ての建物の壁に書かれた「ラジオ博物館」の文字が目に飛び込んできます。

 館内には、大正時代の米国製ラジオや明治時代のエジソン型蓄音機、国産ラッパ型ラジオなど約400台が並び、ジュークボックスからは昭和歌謡が流れています。片隅には、昭和30年代のテレビやラジオなどが置かれた茶の間が再現されています。

 館長の中村邦夫さん(74)は旧石原高校(現府立工業高校)に勤務。約30年前、設備更新に伴い真空管を用いたラジオなどの教材が捨てられていくのを見て、「昔の機械が無くなってしまう」と、収集を開始。古道具店を回るなどして集めていると、とうとう自宅に収まらなくなりました。元建設会社社屋を買い取り、2011年4月に同館をオープン。展示物はできるだけ使用できるよう手入れは欠かせません。

 中村さんは、少年時代から機械いじりが好きで、家中の時計を分解したこともありました。「とにかく音が聞こえるのが不思議で」とラジオのとりこになりました。博物館にも、かつての「ラジオ少年」が訪れ、思い出話に花が咲きます。

 昨年は、同館隣の小学校で出前の理科授業を行うなど活動の場を広げています。「博物館という〝道楽〟にとどまらず、子どもの科学振興に関われてうれしい限りです」

 私設博物館は、特別に高価で価値のある物では無い、庶民の暮らしに根付いた物を展示し、気軽に手に取ってもらえる場所だと考えています。「かつて、どの家庭にもあったが、今は無い物。一見取るに足りない物ですが、訪れた人がそれぞれの思い出にひたってもらえれば」

 開館=土・日曜、10~16時。入場無料。福知山市大江町二俣528。☎090・1154・9203。

(*)国際博物館の日 博物館が社会に果たす役割を広く普及啓発することを目的に、ICOM(世界の博物館関係者で組織される国際博物館会議)が1977年に制定。

(写真=自慢のコレクションを紹介する中村さん)

(「週刊京都民報」5月7日付より)