安倍内閣が治安維持法の現代版・「共謀罪」法案の強行を狙うなか、治安維持法により逮捕され、虐殺されたプロレタリア作家・小林多喜二の母・セキを主人公にした劇映画『母 小林多喜二の母の物語』の上映会が府内各地で取り組まれます。

 原作は三浦綾子の『母』。秋田県の貧しい家に生まれたセキの幼少期から、結婚、次男の多喜二ら3男・3女を産み育て、キリスト教の信仰に触れて87歳で亡くなるまでを追います。

 北海道拓殖銀行に就職した多喜二が、共産党、民主団体への大弾圧事件「3・15事件」の暴挙を告発する小説『一九二八年三月十五日』を著し好評を得るも、「わかればわかるほど権力は恐ろしいものだと背中がざわざわする」と告白する場面や、特高警察に家宅捜査を受けて銀行退職を余儀なくされ、東京行きを決意する場面でも息子を信じて励ますセキ。地下活動に入った多喜二と、セキ、弟・三吾が喫茶店で最後の面会を果たす場面は胸をしめつけられます。

 また、スパイの手引きで検挙した多喜二の拷問を冷徹に指示し、虐殺後の記者会見でも「拷問はなかった」と言い切る特高部長の演技は鬼気迫ります。

 監督は『蟹工船』、『真昼の暗黒』、『はだしのゲン』実写版を製作した現代ぷろだくしょんの山田火砂子(ひさこ)。セキ役は寺島しのぶ。多喜二役は『パッチギ!』で主役を演じた塩谷瞬(しおやしゅん)。特高部長役は佐野史郎。

■上映会の日程

 ◆10日(土)①午前10時半②午後1時半、京都教育文化センター。1500円(前売り1100円)、シニア・大学生1300円(同1100円)、高中小生800円。問い合わせ☎075・202・2211(シネマ・ソラ)。
 ◆15日(木)①午前10時45分②午後1時半③4時半④6時45分、同志社大学寒梅館。料金同上。問い合わせ☎075・202・2211(シネマソラ)。☎075・256・1707(京都映画センター)。
 ◆17日(土)①午前10時②午後1時、ガレリアかめおか。1200円(前売り1000円)、高中生・障がい者500円。問い合わせ☎0771・23・0005(亀岡教育会館)。
 ◆7月16日(日)①午前10時半②午後2時、宇治市生涯学習センター。③午後7時、文化パルク城陽。1200円(前売り1000円)。問い合わせ☎080・6131・1265(藤原)、☎090・6552・6448(下島)。

(写真提供=㈱現代ぷろだくしょん

(「週刊京都民報」6月4日付より)