■利用者も施設も限界

 「社会福祉法人 七野会」は地域の願いから誕生して32年、特養や老健施設など14事業所を運営しています。

 国は昨年、特養ホームの待機者は52・4万人から36・6万人に減ったと発表しましたが、入所を原則、要介護3以上に変更したからです。原谷こぶしの里は、定員100床に対し、現在、760人が待機しておられます。

 入所者や施設利用者の負担が急増しています。15年8月から、年金などの所得金額が年280万円を超える人の利用料は1割から2割になり、さらに預貯金額が1000万円以上ある人は、介護保険施設の食費や居住費が上がりました。月5万3000円から11万9000円と一挙に2倍になった人もいます。負担増は、配偶者や家族の生活を圧迫し、「21世紀老人福祉の向上をめざす施設連絡会」の全国老人ホーム施設長アンケートで「配偶者の生活苦」は311施設(16%)に上り、看過できません。

 15年の介護報酬改定は大打撃です。改定率はマイナス2・27%で、全国の特養ホームの3割が赤字経営です。基本となる報酬が減らされる分、「加算」となる夜勤職員の配置増、介護福祉士の割合を増やすなど、ポイントを積み上げないとたちまち経営難になるのが現状です。

 介護職員の人材不足も深刻です。職員の負担が増え、離職されると加算が取れず、施設収入が減り、職員の処遇改善ができない〝負のスパイラル〟に陥ります。

 「保険」に基づくサービスだけでなく、国の一般財源、京都府・市の福祉予算を増やし、だれもが人間らしく生きる権利としての介護・福祉の充実を求めていきたいです。