府教委が進める丹後通学圏での府立高校再編・統廃合問題で、対象となっている久美浜高校で「農業に関する学科」の設置を検討していることが分かりました。再編後の学科配置が明らかとなるのは初めて。日本共産党府議団が府教委に請求した資料で判明したものです。

 今年3月に決めた再編内容は、2つの高校を1つの高校として運営する「学舎制」を導入するもので、組み合わせは宮津高校(宮津市)と加悦谷高校(与謝野町)、網野高校(京丹後市)と久美浜高校(同)です。また、伊根(伊根町)、間人(京丹後市)、弥栄(同)の3分校は弥栄高校に統合し、新しい定時制高校を設置。2020年度から実施するとしていました。ただ、再編・統合後の学科配置や教育内容は明確に示していませんでした。

 資料によると、久美浜高校については、3月時点では「現在の総合学科の各系列を踏まえた教育内容の充実を図る」とされていたものが、「農業に関する学科」とされ「丹後の農業中核校としての位置づけ」などと記されていました。他校については、既存学科の充実など3月時点とほとんど同じ方針が示されていました。

 府教委は7月に中学生と保護者あてに、高校再編についての説明文書を配布していますが、今回判明した内容は記されていませんでした。
 
 また、府教委が昨年9月に実施した小中学生の全保護者対象のアンケートで、再編内容については「本校継続」が最も多く、「学舎制」導入は少数でした。また、「必要な教育内容」については「普通科」が最多でした。

■地元の願いに背く内容/京都教職員組合・河口隆洋委員長

 府教委の保護者アンケートでも、「本校継続」かつ、地元の高校に「普通科」を望む声が最多となっていることが重要です。府立高校は府民ためにあり、府教委は地元の普通科のある高校に通いたいという府民の願いに応えるべきです。今回判明した丹後・与謝の再編検討内容はその願いに応えるものではありません。

 普通科志向が強いもと、専門学科のみの学舎では志望者が減少し、将来的には生徒数の減少を理由に統廃合へと誘導される恐れもあります。

 また、分校に関連し、京都の定時制の特徴は、小規模でアットホームな中、生徒が学び、成長していくところです。統廃合による大規模化で良さが失われないか懸念しています。

 府教委は再編を進めるにあたり「丁寧に説明する」と繰り返してきました。与謝野町と京丹後市の両議会では丁寧な説明や地域住民の声を聞くことを求める意見書が全会一致で採択されています。「丁寧な説明」というなら、府教委は、保護者や生徒に検討状況を知らせて意見を求めていくべきです。

(写真=「農業に関する学科」の配置が検討されている京丹後市の久美浜高校)

(「週刊京都民報」8月27日付より)