南丹市八木町の住民が地域の課題解消や町づくりについて考える「第1回八木町市民フォーラム設立記念講演会」が18日、同市の府立口丹波勤労者福祉会館で開かれました。同志社大学の浜矩子教授が「アベノミクス」の問題点について講演。近隣市町などから215人が参加しました。

 同フォーラムは、地域経済の疲弊や貧困と格差、原発・エネルギー政策など国と地域を取り巻く問題について「学び、考える場を」と住民有志が企画。7月に実行委員会を立ち上げ準備してきました。

 浜教授は、まず、「経済活動」の本来のあり方は「人間を幸せにするもの」であると強調し、「多少なりとも不幸にするものは経済活動の名に値しないと認識する必要がある」と述べました。そして、「経済政策」に求められるのは「国民の幸せに寄与する」ことで、「均衡回復」と「弱者救済」という2つの使命があると解説しました。

 その上で、「アベノミクス」は、「果たすべき使命とかけ離れており、経済政策の名に値しない」と指摘。その理由として、安倍首相が「経済成長により国防費を増やす」と言明していることを紹介し、「経済政策のまっとうさはみじんもない」と断じました。さらに、アベノミクスに伴う個別の政策の是非を判断するのではなく「全体として目指す方向を見定め、全否定しないといけない」と強調しました。

 参加者からの「日本の現状で経済成長は可能か」という質問に答え、「これ以上、図体(経済規模)を大きくする必要はなく、貯めてきた富をシェアするとき。分配の問題だと考えないといけない」と述べました。

 また、「明日の見える経済」の指針として、人と人のまともなつながりの中で行われる経済共同体が重要で、「これは地域共同体の中でこそ、つくりやすい」と語りました。

 主催者を代表し、実行委員会代表の芦田讓京大名誉教授があいさつ。芦田氏は、人口減少や農業従事者の高齢化など、地域が抱える課題の解消に向けて、「一般市民目線で学び、議論する場になれば」と語りました。フォーラムでは今後も年1、2回のペースで講演会などに取り組んでいく予定です。

(写真上=会場いっぱいの215人が参加したフォーラム、写真下=講演する浜教授

(「週刊京都民報」11月26日付より)