安倍政権による9条改憲の国会発議を許さないたたかいが各地で広がりつつあります。今年初めの共同通信の調査では、安倍政権のもとでの憲法改定に54%が反対と回答。3000万署名を集めきり、揺るぎない国民的多数派をつくることが求められています。「安倍9条改憲NO! 全国市民アクション」発起人の有馬賴底・臨濟宗相國寺派管長と益川敏英・京都大学名誉教授に正念場となるたたかいへの思いを聞きました。

■「3000万署名」全国市民アクション発起人に聞く

 新年から安倍首相は、今年の国会で改憲の発議をし、国民投票に持ち込むと、えらい息巻いています。しかし、国民は絶対に納得しませんよ。どの世論調査でも「9条改憲に反対」が過半数です。戦争は二度としない、このことを誓ったのが憲法9条ですよ。

 今、85歳です。戦後72年、中学生の時は軍事工場で三八式銃の解体、修繕をしていた軍国少年でした。兵隊がいつでも銃を使えるよう、磨いていました。銃は人殺しをするための機械です。実にあさましく、恐ろしいことだと後になって思いました。そんなことは二度と繰り返したくないですよ。

 昨年11月、バチカン市国のフランシスコ・ローマ法王の招待を受け、サンパウロ大聖堂でのミサに参加しました。仏教者のスピーチは初めてだそうです。3年ほど前から、仏教徒として平和を願う論文や手紙を送り続けました。それが意にかなったのでしょうか。宗教の違いを超え、信頼を感じていただけたのだと思います。

 法皇は、「世界平和への願いはわがクリスチャンも同じだ。紛争や戦争では絶対に平和はこない。あくまで平和的な話し合いで決めましょう」と長い握手をしながら言われました。

 バチカン市国訪問後、北朝鮮へ行きました。高麗時代の名刹「霊通寺」で4回目となる法要を行いました。ローマ法王の言葉も伝え、韓国にも伝えてほしいと言いました。北朝鮮の政府高官は、「我々も戦争は望んでいない。南北朝鮮の統一を願うだけだ」と言いました。もちろん北朝鮮のトップは、ミサイル発射など問題があります。でも親子が朝鮮半島の38度線で南北に分断され、親に会えないまま、縁が切れてしまっていいのか、声を大にして言うことが宗教者の役目だと思うんです。

 オリンピックを1つの機会に、少し雰囲気が変わってきました。なんとか、平和的に話し合いが進むことを願っています。

■戦争へ〝暴走〟とんでもない

 しかし、問題は日本です。安倍首相は北朝鮮の危機感をあおり、再軍備に向けて走っています。戦争がしたくてしょうがない、とんでもない首相です。しかもアメリカの武器をすごい金額で買っています。戦闘機を10機も買うなんて。戦争しないという国がどうして戦闘機なんですか。他国侵略の武器を、アメリカの言い値で買うなんて信じがたい。

 政治家のレベルが本当に低くなりました。核兵器禁止条約の採択実現に貢献して、ノーベル平和賞を受賞した「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)の事務局長が来日され、首相に面会要請しましたが、拒否しました。唯一の被爆国の首相として、人間として、恥ずかしい話ですよ。

 九州の檀家で4人の立派な息子をすべて戦争で亡くした人がいます。一番下の弟はレイテ島でした。「なんでこげんこつになった」と父母の悲しみは本当に深い。こんなことを繰り返してはならんのです。

 何としても9条は変えてはなりません。自衛隊を9条に書けば、1項、2項が死文化します。今が正念場です。頑張らねばなりません。