学問的検証と異なる「明治150年」奉祝 京都で歴教協全国大会、加藤陽子教授が記念講演
2018年歴史教育者協議会第70回全国大会が4日から6日、まで京都市左京区の同志社中学校・高等学校で開かれました。初日には東京大学大学院の加藤陽子教授が「『明治150年』を考える」とテーマに記念講演しました。
加藤教授は、政府が今年を「明治150年」と位置づけ、国・都道府県・民間一体となって奉祝しようとする行為は、同時代を理解したいとの願望や学問的検証といった動機とは異なっているとし、国の改造のエネルギーの祖型を維新期に求める構造が見てとれると、指摘。
▽明治百年記念(1968年)と明治150年記念(2018年)▽戦前期 天皇と軍・軍隊の関係から考える▽敗戦後 天皇の象徴性から考える―を柱に、時代や立場などをふまえ、多角的に検証しました。
同協議会の山田朗委員長による基調講演「明治150年から学ぶこと、学んではならないこと」、福知山市立三和中学校の吉田武彦教諭による地域実践報告「学校・地域から創る平和の文化~朝鮮学校との交流が築いたもの」などが行われました。
開会にあたって、丸浜昭・同協議会大会委員長と羽田純一・現地実行委員長が歓迎のあいさつ。
分科会では「歴史と現代」「地域・子ども・授業」をテーマに討論しました。狂言や東寺百合文書などを題材に地域を学ぶ集いや、史跡をめぐるフィールドワークなど多様な取り組みが行われました。
【追記】初出時、福知山市立三和中学校の吉田武彦氏の肩書が「教授」になっていました。訂正しました(2018年8月15日午前11時20分)。