柴田鉄治氏「南極条約は人類のあるべき姿先取り」
「憲法九条を守る木幡・六地蔵の会」は21日、新春のつどいを開催し、60人が参加しました。元朝日新聞科学記者で、元国際基督教大学客員教授の柴田鉄治氏を迎え、「南極から地球と人類の未来を考える」と題した講演が行われました。
柴田鉄治氏は1965~66年にかけ、南極第7次観測隊に報道記者として同行、もう一度現場に立ちたいと昨年40年ぶりに南極を訪れました。
柴田氏は、南極を再度訪れたいと思った理由を「1つは南極基地50周年節目の年に自らが提言したいと思った。2つは南極が平和な大陸であること、南極には国境も軍事基地もなく、人類の理想を実現した地球上の唯一の場所で、もう一度確認し考え直したいと思った。なぜなら、イラク戦争など、世界がいま、血生臭くなっている、日本も急にきな臭い、イラクへの自衛隊派兵、有事法制、省庁再編で防衛省への昇格など」と話し、「宇宙飛行士が地球を見た場合、地球に国境は見えない。南極はまさに『平和の地』。その発想を世界平和にいかせないか」と話しました。
さらに、柴田氏は「南極条約」に触れ、「第一条で南極地域は、平和的目的のみに限ると軍事利用を禁止しています。さらに第二条以下で科学的調査の自由や国際協力の促進、観測結果の自由な利用、核の爆発および放射性廃棄物処分の禁止など、平和と安全、自由を重んじた条文が並んでいます。日本の憲法九条は人類の理想を実現したもの。しかし変えないといけないという意見もある。南極条約は人類のあるべき姿を先取りしている。こうした具体的な事例があるのだから、そうした考えを取り入れるべき。南極条約では領土権を凍結することで、国と国との利害をやり過ごすことができている。こんな知恵をいかすべき」と強調しました。(帆足慶子)