【夏に楽しむ味・店】京田辺市・さんさん山城コミュニティカフェ/採れたて野菜を“ワンコイン”で 農業と福祉連携、居心地いい場所に
京田辺特産のナスやエビイモをはじめ、トマトや万願寺トウガラシなど、採れたて野菜を使った日替わりランチが500円で食べられるカフェが人気です。
作っているのは聴覚や精神などに障がいのある20代から80代までの31人。スタッフと共に畑で苗作りから収穫、加工、調理まで行っています。
京田辺市興戸にある障害者就労支援事業所「さんさん山城」(社会福祉法人京都聴覚言語障害者福祉協会)内にある「コミュニティカフェ」。ランチは1品だけ。この日は夏野菜がふんだんに入ったサンサンカレーとサラダ。
皮が薄くジューシーな京都田辺ナス、ニンジンやジャガイモも自分たちで作った野菜です。米も京田辺産。大盛り、おかわり無料。毎日40~50食を完売します。
人気メニューのトップは、京都田辺ナス丼。採れたてのナスを焼いてオリジナルのたれをかけたもの。次いで京都えびいもコロッケ。エビイモは高級食材ですが、冬場に収穫して冷凍してあるため、年中使えます。常連客の女性たちは「おいしい野菜がワンコインで楽しめるなんてね~」と笑顔。子連れのお母さんたちは別室の和室でくつろいでランチ。「打ち合わせもできるし、絵本や遊具もあり、子どもを遊ばせておけるので、助かります」。
同事業所は2011年4月開設。農家の後継者が減り、特産野菜が衰退していく中で、新たな担い手として農業に取り組もうと始めたもの。休耕地を利用し、農家や農協などから栽培法や農業技術などを教わり、交流が深まる中で、畑は70㌃まで増え、30種の野菜やお茶を作るまでになりました。長年、障害者運動にかかわり、事業所管理者でもある藤永実さんは「近所の農家が規格外のエビイモをコロッケ用にと持ってきてくれる。地域との信頼が深まっている」と話します。
収穫した野菜はJAを通じて出荷したり、イベントにも出店。自分たちの作った野菜を使った店をやりたいという声が出され、17年4月に事業所内にカフェをオープン。お茶を使ったクッキーや七味唐辛子などの加工品も依頼が急増中です。
施設長の新免修さんは「農業と福祉の連携が注目され、全国から視察に見えます。障害者にとっても地域の人にとっても居心地の良い場所になってくれたらうれしい」と話しています。
京田辺市興戸小モ詰18─1。ランチは1種類。営業時間は午前11時~午後3時、土日曜休(ランチは午前11時半~午後2時。完売次第終了)。さんさん山城コミュニティカフェ☎0774・39・7113、0774・65・4102。