京都市美術館

 京セラへの命名権(ネーミングライツ)売却で、「京都市京セラ美術館」として来春に再開する京都市美術館(左京区)で、改修工事が終了し 、11月16日に竣工式が開かれたことを受け、ネーミングライツ導入に反対してきた市民団体が同日、建物の前で「美術館の名前を返して」と訴える宣伝を行いました。

 宣伝は、「京都・水と緑をまもる連絡会」が呼びかけたもの。公立美術館での命名権売却は前例のないもの。市民や芸術家ら15人が、建物の入口に設置された銘板「京都市京セラ美術館」の前に立ち、全国初となった市美術館の命名権売却に抗議のアピールをしました。

 マイクを握った彫刻家の貴志カスケさんは「公的な美術館は、金持ち、宗教者、権力者などが排除された空間だからこそ、アーティストが何の気兼ねもなく作品を発表できる。市は、美術館に企業の名前を冠するのでなく、京都市美術館の名前に戻すべきだ」と訴えました。

 京都市は2017年、建物の改修費用(111億円)の約半分、50億円で同館の命名権を京セラに売却する契約(50年間)を締結。京都市民だけでなく、全国の芸術関係者から批判の声が上がっていました。