きょうされん京都支部は12月14日、京都市中京区の立命館大学朱雀キャンパスで、昨年京都で開催した「きょうされん第41回全国大会in京都」から1周年を迎えた記念の集い「『ひとりぼっち』をつくらない社会をめざして」を行い、福祉関連の団体などから230人が参加しました。

 集いでは、和歌山県紀の川市で障害者だけでなく不登校やひきこもりの当事者や家族を支援している「麦の郷ゆめ・やりたいこと実現センター」コーディネーターの藤本綾子さんが講演。1977年に共同作業所を開所してから2000人を超える人の支援に携わってきた体験から、ニーズや願いを敏感に受け止め、支え合える関係作り、地域の多くの人に伝え、手をつないでいく必要性を強調しました。

 シンポジウムでは尾藤廣喜弁護士をコーディネーターに、「認知症の人と家族の会」京都府支部の荒牧敦子代表、NPO法人福祉広場の池添素理事長、大谷大学の中野加奈子准教授、藤本さんの4氏が発言。荒牧氏は「世話になりたくないという気持ちに加え、介護保険の負担増と給付削減、利用料の2、3割負担、消費税増税などの経済的困難が追い打ちをかけている」と話し、池添さんは、相談に来た当事者の家族とつながりながら、あせらず一緒に待つことが大事だと述べ、「生きているだけで価値があることを親が理解し、受け止められる社会が必要」と話しました。

 中野さんは、特別支援学校を卒業後に支援の輪が途切れた「軽度」の障害者が孤独の中で過酷な労働を強いられていたことや偽装結婚、振り込め詐欺などの犯罪行為に巻き込まれるケースもあると指摘。2015年にスタートした「生活困窮者自立支援法」の周知も内容も不十分だとして、「日本の医療や福祉を納税者の目線で見て、税金の使い道を考えて欲しい」と話しました。

 尾藤氏は各団体が共通する課題を抱えているとして、「家族も当事者も支える温かい制度が必要」と指摘。スウェーデンの人口10万人規模の都市では、ケースワーカーが担当しているのは上限20件なのに対して、日本は1人100件を超えていると述べ、「福祉を民間委託して恥じない政治は変えなきゃならない。財源は企業の法人税を欧州並みに取れば十分あります。そういう視点を持ちながら政治を変える話をしていくことが大事だ」と語りました。