アグロエコロジー宣言
ダイコンが主役のデザイン

 「つなぐ京都2020」の福山和人候補の「農地と森を生かし、食の安全・安心を保障する」農林業分野の政策は、生産者や研究者、流通業者などと意見交換し、まとめられました。農家や消費者から期待の声が上がっています。

 農業政策は、農地と森を生かし、食の安全・安心を保障することを目標に、市独自の所得補償制度、「種子交換ネットワーク」の形成、種苗法「改正」に反対し伝統的な農業や地域品種を保全、京都の風土や農家の条件に応じた有機農法や環境保全型農業の推進など8項目(下記に掲載)。

 農業政策を深めるきっかけとなったのは、福山さんと「日本の種子を守る会」アドバイザーの印鑰(いんやく)智哉さんのタウンミーティング(昨年12月)でした。主催したのは、「つなぐ京都2020」共同代表で、「草の根プロジェクト」で活動する井﨑敦子さんと乾物屋を営む春山文枝さんら。

(左から)井﨑 、石田、春山の各氏

 印鑰さんは、政府が種子法を廃止し、遺伝子組み換え食品を承認し、除草剤も規制緩和するなど、世界の潮流に逆行していることを指摘。「生態系に配慮した農業を基本に据えた環境活動、アグロエコロジーの実践を京都市から行ってくれたら、その影響は計り知れない」と提起。会場から、子どもがアトピーで苦しんでいる母親が訴え、心を動かされた福山さんが、「完全有機を目指すって政策に入れてもいいですか」と応え、会場から大きな拍手が起こりました。

 井﨑 さんは農業政策を作るにあたり、主宰する「京都ファーマーズマーケット」に参加する農家や八百屋、研究者らに意見を聞きました。相談を受けた一人、右京区京北の農家で研究者の松平尚也さん(45)は意見として、▽生産緑地法改正で京都市による農地の宅地転用を防ぐ対策の検討▽種子法廃止を受け、府に主要農産物の種子保全を求め、「種子条例」制定を求める▽市独自の所得補償制度、新規就農者支援─を提案。松平さんは「現場と現市政の農業政策にはかい離がある。農業は今岐路にあり、農家を応援してくれる政策ができてうれしい。福山さんは京北にも来て、話を聞いてくれた。こんな人こそ市長になってほしい」と目を輝かせます。

松平尚也さん
松平さん

斬新チラシで“アグロエコロジー”

 農業政策にかかわった井﨑敦子さんと春山文枝さんは、福山さんの農業政策への支援を広げようと、斬新なチラシ(写真上)「京都市アグロエコロジー宣言。」を制作しました。ダイコンのイラストを描いたのは伏原のじこさん、文章は井﨑さんと春山さんが担当しました。

 アグロエコロジーとは地域に根差し、持続可能で社会的に公正な農業の実践と食のシステムつくりに向けた行動の意味。

 チラシには、同宣言を提案している印鑰智哉さんと福山候補の対談も掲載。趣旨に賛同している市民環境研究所の石田紀郎代表理事、「使い捨て時代を考える会」相談役の槌田劭(つちだ・たかし)氏、株式会社ヘルプなど、25人の名前や屋号も紹介されています。

 井﨑さんは農家や消費者など多くのつながりを生かして、このチラシを配布していると言い、「何より命が大事。京都から、環境にも作り手にも食べ手にも、未来世代にも、お金の有る無しにかかわらず、安心な食と農のあるまちを目指したい」と話しています。

■福山候補のマニフェスト「農地と森を生かし、食の安全・安心を保障する」より(要旨)

  • 農業・農村の維持のための独自の所得補償制度の検討。新規就農者・認定農家の支援、有害鳥獣対策の強化
  • 府に対し主要農産物の種子の保全や開発、安定供給を目指す「種子交換ネットワーク」形成と「種子条例」の制定を要求
  • 農家による種子の自家増殖や販売、利用の権利を奪う種苗法「改正」に反対。「京野菜」など伝統的な地域品種の種苗保全と普及援助
  • 農業者や研究者、流通者、消費者らの意見を聞き、京都の風土や農家の条件に応じた有機農法や環境保全型農業を推進し、安価で安全な農産物提供の環境整備
  • 休耕田畑を活用した新規就農者支援。学校給食への積極的使用
  • 生産緑地法改正で予想される京都市の生産緑地(農地)の宅地対策の転用を防止する対策の検討
  • 積極的な森林整備計画の検討
  • 地元林業者や製材業者の支援

(「週刊京都民報」1月26日付より)