【2・2京都市長選】展望台建設、街路樹整備・・・「ごみ袋」販売収益、目的外使用に疑問の声/「温暖化対策」理由に環境部局以外の事業にも
家計が苦しくなるなか、「家庭ごみ袋代の値下げをしてほしい」との願いが、京都市長選(2月2日投票)の争点の一つに浮上しています。京都市は、家庭ごみ有料指定袋の販売収益を、ごみ処理とは直接的には関係のない展望台建設や街路樹の整備などに使っており、市民から疑問視する声が上がっています。
京都市は、ごみ減量・リサイクルの推進を目的に、家庭ごみ有料指定袋制を2006年から実施。ごみ袋の販売収入から、袋の製造などの経費を差し引いた約10億円の、ごみ処理手数料を使って、ごみ減量・リサイクルの推進などに活用しているとしています。
この活用の仕組みは、ごみ袋代を、ごみ処理経費(18年度、年間205億円)に充て、それによって節減された同額の一般財源を「有料化財源」と位置付けて、基金として積み立て、①ごみ減量・リサイクルの推進②まちの美化の推進③地球温暖化対策―の3分野の財源にするというものです。
前回の市長選で、この「有料化財源」の使い道として、南部クリーンセンターにつくる環境学習施設「さすてな京都」に併設する展望台(南部クリーンセンター第二工場の煙突部分)建設に、約2億5000万円が投入されることが発覚。市民から、「市民の望んでもいないものに使わないで」と声が上がり、目的外使用への関心が広がってきました。
地球温暖化対策には、「商店街の街路灯LED化」(産業観光局、17年度で終了)、「街路樹整備」(建設局)、「住宅の省エネリフォーム支援」(都市計画局)など、環境政策局以外の事業が含まれています。
京都市は、年間の家庭ごみの量が、有料指定袋制導入前の約70%(05年度、30・6万トン→18年度、約21・4万トン)まで減り、「収集運搬に係る直接経費だけでも年間約38億円もの大幅な削減が図られて」いる(公開質問状回答より)と実績を誇っています。
「ごみ袋の値下げを求める市民の会@さがの」の大西育子さんは、市民の分別・リサイクルの努力と当局の取り組みで、ごみは減っているとし、「ごみ処理代は本来、税金でまかなうもので、有料ごみ袋制は、税金の二重取りだと思います。無料にとは言いませんが、せめて袋代を値下げして、市民のごみ減量の努力に応えるべきではないでしょうか」と話しています。
■福山候補「値下げすべき」
門川氏「価格引き下げは適切でない」、村山氏「値下げすべきでない」
「家庭ごみ袋代の値下げをしてほしい」という願いを受け止め、「有料ごみ袋代の値下げをめざす」と生活支援策に盛り込んでいるのは、福山和人候補(58)=日本共産党、れいわ新選組推薦=のみです。
昨年12月に、「京都の環境・ごみ問題を考える ごみ袋値下げ市民ネット」(ごみ袋値下げ京都市民ネット)が、予定候補者3氏に送った公開質問状では、「黒字なのであれば、ごみ袋代を値下げすべき」(福山氏)、「ごみ減量に大きな成果を上げている有料指定袋の価格引き下げは、適切でない」(門川大作氏)、「全額、処理費へ移行すべきで値下げすべきではない」(村山祥栄氏)と回答しています。
(「週刊京都民報」1月26日付より)