畠中光享さん

 美術に対する京都市行政のあり方は、非文化都市のそれでしかありません。門川市長の念頭にあるのは、文化でいかに稼ぐかということです。そもそも、美術館というのは企画展がメーンです。ところが、市美術館では、充分な体制が保障されるべき学芸員の数は圧倒的に少ないのが現状です。そのため、独自の企画展開催は難しく、貸し展示による賃料と入館者で、いかにもうけるかが中心となってきました。

 こんな考えだから、平気で美術館の名前を京セラに売り渡すことができたのでしょう。作品の購入予算も、微々たる金額しかありません。美術館には、価値ある作品の収集・保存・展示・公開という大事な役割もありますが、これでは到底無理です。

 先日開催された、市美術館のリニューアルオープンの式典で、門川市長はあいさつで、作品の寄贈を呼びかけました。建物には多額のお金をかけて改修しましたが、肝心の作品は寄贈をあてにする。こんなことで、文化都市・京都にふわさわしい美術館といえますか。

 京都の文化・芸術を本気で大事にする人に市長になってほしい。京都そして日本の年間ベスト100点位の作品を収集することくらいは、必要だと思います。

(「週刊京都民報」1月26日付より)