新型コロナウイルス感染拡大の影響で、病児保育の利用者が大幅に減り、京都市内の施設運営者からは「施設を維持するのも厳しい状況。国が責任を持って、継続できるよう支援してほしい」と声が上がっています。日本共産党の京都市議が事業所を訪ね、要望を聞き取っています。

 病児保育は、仕事を休めない保護者の代わりに、病気や怪我などの子どもを保育し、看護する施設。京都市は9施設で実施し、病院や医療法人などが委託を受けて運営しています。

 日本共産党の井坂博文、玉本なるみの両京都市議は5月16日、昨年4月に開室した京都市北区の「ろくごうかい病児保育室」を訪問し、利用者の減少や運営の厳しい状況について聞き取りました。

 同保育室では、昨年6、7月はそれぞれ約60人利用していましたが、今年3月は7人、4月は3人、5月は0人に減少。通常は、かぜやインフルエンザ、おたふくかぜなどの症状の病児を保育しますが、新型コロナウイルス感染への懸念から、発熱やせきなどの症状の子どもを受け入れられないことや、保護者の在宅勤務が増えたことなどが要因といいます。

 中野健太施設長は、「保護者からの申し込み件数も減っているし、コロナ感染の疑いがあれば保育を断るケースもあります。その分利用者数に応じて支払われる加算金が減り、運営が厳しくなっている」と言います。同保育室は保育士と看護師1人ずつを配置し、病児4人の定員に応じて部屋に仕切りを作るなどし、光熱水費などの維持費も必要です。

 京都市子ども若者はぐくみ局幼保総合支援室によると、発熱や呼吸器症状が認められるなど、新型コロナウイルス感染が疑われる場合は、利用を控えるよう周知しているとし、4月は全体で利用者が減る見込みだとしています。

 中野さんは、「普通の保育園のように『定数』がなく、不安定な状況におかれているのが病児保育です。子どもが病気になった時のためにも、1人でも0人でも開室し、雇用を維持できるようにしたい。国の責任で、運営できるよう補償してほしい」と話しました。両市議は要望を市へ伝え、改善を求めていくと述べました。