【福知山市長選】「民主市政の会」おくい正美さんインタビュー 暮らし・教育・地域経済 市民の願い届け20年 6月7日告示
6月14日投票(7日告示)の福知山市長選に立候補を表明している「市民が主人公の民主市政をつくる会」のおくい正美氏=福知山地方労働組合協議会議長=に、労組での活動や市民要求実現の運動などこれまでの歩みや目指す市政などについて聞きました。
─新型コロナウイルス感染拡大による生活や経済への影響が深刻です
16日には電話相談会に参加しました。また、「民主市政の会」で4月に事業所を訪問するなどして影響の大きさを実感しています。公約に暮らしと営業の支援を掲げており、全力で取り組みたいと思います。
第2波も懸念され、医療体制確保が求められますが、国は市民病院の大江分院を統廃合しようとしており、地域医療を守る立場で反対したいと思います。
─歴代4市長に対し、様々な市民要望の実現を求めてきました
福知山地労協で20年間、議長を務めています。この間、労働問題はもちろんですが、労働者を含む市民の生活を少しでも良くしたいと活動してきました。
この思いの背景には、民商や京都生協の職員時代に真面目に働く人々と接し、こういう人たちが少しでも報われる社会になればと感じたことにあります。
市民要求については、各種団体などからの要望をまとめて議会請願などを行いました。消費税増税や米軍の射撃訓練実施に反対など国政問題から、子どもの医療費無料化拡充、国保料引き下げなどの市政問題まで様々です。これら要求に関し、原発ゼロを訴えるキンカン宣伝など、市民とともに運動もしてきました。
歴代4市長に要求実現迫る
市政要求は各市長に対して迫ってきましたが、「お金がない」と背を向けられてきました。そこで、お金の使い道を少し変えるだけで様々な施策を実現できるということを「すぐやるプラン」として示しました。
─労組の活動や印象に残っている事柄について教えて下さい
01年にトステム綾部工場の労働者、中田衛一さんの過労死では、ご家族の気持ちを考えると、本当に胸が痛みました。地労協として労災認定や裁判の支援を行いました。綾部工場の労働者はほとんどが地元採用で、大企業で働けると喜んで集まった若者らを使い捨てにし、中田さんが亡くなったことに怒りがわきました。
その後、トステム工場の閉鎖問題も起き、約400人の労働者の雇用を守れと閉鎖撤回を求める運動にも加わりました。他にも、地元の倒産したタクシー会社の賃金未払いや生協職員時代にはパート職員の働き方をめぐる問題などをサポートしてきました。
困った人に寄り添い230件
─困っている人に寄り添おうと「何でも相談会」を開いていると聞きました
相談会は07年から開き、私は230件以上の相談を受けました。中には、未払い残業代を支払わせることができた事例もありました。
リーマンショックの時には長田野工業団地の派遣労働者800人が解雇され、労基署などと連絡をとり生活保障のために力を尽くしました。
困っている人の助けになればと思い、相次いだ水害では京都総評からのボランティアの受け入れ調整を行ってきました。被災者支援のために総評で集めた義援金を現市長に届けたこともあります。
働く人のために全力の人
■元京丹タクシー労働組合委員長 中川孝さん
京丹タクシーは福知山に本社があり、2009年5月に経営破綻しました。倒産前から賃金未払いもあり、さらに社員が積み立てていた退職金など約500万円の組合費の使い込みも発覚しました。
社員は約100人で、将来に不安を感じて精神的に追い込まれるものもいました。何とか社員を救済したいと思い、奥井議長に相談し、連合傘下から地労協加盟の組合となりました。
奥井さんは「本当にひどい会社だ」と相談に乗ってくれ、弁護士も紹介してくれました。組合費が使いこまれたため裁判費用もなかったのですが、地労協で立て替えてくれました。会社の不当を告発する地元新聞への折り込みビラの費用も同様です。
組合費の返還を求める裁判に勝利するとともに、未払い賃金も支払わせることができ、全面解決となりました。
奥井さんは労働者と同じ目線で親身に何度も相談に乗ってくれ、頑張って闘う勇気をくれました。自分よりも他人の幸せのために力を尽くし、勇気を与えてくれる庶民の味方です。こういう人に市長になってもらいたい、適任だと思います。
トステム綾部工場で過労死・中田衛一さんの労災認定、裁判闘争を支援/中田弘美さん「勇気と力与えてくれた」
トステム綾部工場に勤務していた中田衛一さんは2001年6月16日、22歳の若さで過労死しました。労災認定やトステムへの損害賠償請求などの闘争を、おくい正美氏は、地労協議長として支援してきました。
中田さんは、月100時間を超える残業など過酷な労働を強いられ、夜勤を終えて自宅で就寝中に急性心停止により死亡しました。
両親は福知山労基署に労災申請しましたが認められず、再審査請求も却下。07年6月に、京都地裁福知山支部に対し、トステムに安全配慮義務違反の過失があったとして損害賠償を求めて提訴しましたが、請求棄却の「不当判決」となりました。
おくい氏は中田さんの地元である福知山市で、「労働災害認定を求める会」の代表委員の一人として闘争を支援。裁判では、口頭弁論前の工場前での宣伝や地裁前までのデモ行進への参加、裁判の傍聴支援などを行ってきました。
京都市内でも若者を中心に、「中田衛一22歳過労死裁判支援ネットワーク」が立ち上げられるなど支援の輪が広がりました。
衛一さんの母親・中田弘美さんは、「私たちの気持ちに寄り添い、会の要として闘いに勇気と力を与えてくれました。市民の声を聞き、一緒に考え行動する。新型コロナウイルスという経験したことのない事態の中で、命と健康を守り、医療や生活支援に全力で取り組んでいただける方だと確信しています」と激励のメッセージを寄せています。