新型コロナウイルス感染症拡大に伴って休校が続いていた学校が、全国的に再開されました。感染リスクの低減と学びの保障が求められるなか、木津川市で数年後に日本一のマンモス校(児童数1800人超)となる過大規模校の解消が、敷地内増築でいいのか? と城山台小学校地域の住民が、同感染症拡大防止の見地を踏まえた新しい視点に立ち、分離新設、分校設置を行うよう求めて6月定例会に議会請願書、市教育長宛に陳情書を提出しました。

 同小学校は今年度、同市内最多の児童数991人でスタート。ピーク時を迎える2025~26年には、倍近い1800人(55学級)規模になる見込みですが、市は、運動場に「新学舎」を増築し、対応する計画です。

 そのため、運動場は4分の3に縮小。1000人規模を想定して建設した現在の体育館では全校生徒を収容できないため、ミニ体育館(多目的ホール)を設ける予定です。

 分離新設、または分校設置を求めて、未就学児の親たちが立ち上げた「こどもの未来を考える城山台パパママ会」は、子どものたちの命と健康を守り、学ぶ権利を保障するために、感染症拡大防止に学校での「3密」を避ける取り組みが求められるなど、状況が大きく変化していることを強調し、5月28日に請願書を提出しました。

 「パパママ会」では、「密な集団生活は、感染のリスクが大きい」として、増築される校舎の設計図を感染症拡大防止の視点で見直し、独自に調査。廊下を挟んで両側に教室を配置する設計となっていることにも注目しました。

増築校舎は、廊下を挟んで両側に教室を配置する「中廊下」の設計で、風通しの悪い点が心配されています

 この「中廊下」方式は、▽風通し・採光が悪い▽感染症が広がりやすい―などの理由で現在では採用されないことが多く、「片廊下」(廊下の片方に教室を配置)が推奨されていることを指摘。それぞれのタイプの換気量を比較した資料も紹介して、旧来の「中廊下」方式の設計となっていることへの疑念をニュースやブログで発信しています。

 請願では、感染症対策を強調するとともに、新しい校舎の役割として、災害対策の拠点に位置付ければ、市全体の危機管理機能強化の課題に有益で持続可能な施設になると提案。「パパママ会」のメンバーと地域住民合わせて14人が請願者に名を連ねています。

 メンバーらは、「感染症対策が継続すると言われる今日の時点で、それ以前に設計され、しかも他校より換気の悪い『中廊下』の校舎を認めていいのか疑問」、「感染症のリスクの高い持病を持つ子どもたちが、過密がゆえに通い辛くなる学校ではいけない」などと話し、「一度立ち止まって再検討してほしい」と訴えています。

 請願は、日本共産党の宮嶋良造、和みの会の森本茂、無会派の山本しのぶ、の各議員が紹介議員となりました。9日の総務文教委員会で、請願者の意見陳述が行われ、審議されます。