米軍レーダー基地(京丹後市)

 京丹後市の米軍レーダー基地に関わる問題について、京丹後市議会として調査・対策などを行う「米軍基地対策特別委員会」が、未設置のままとなっています。日本共産党市議団(田中邦生団長、3人)は、「特別委員会の活動の意義を議会として再認識し、設置されるよう呼びかけていきたい」としています。

 特別委員会は、議会の議決を経て設置されるもので、議員の改選に伴い新たに設置する必要があります。今年4月の市議選後に初めて開かれている6月定例会では、議員の中から「特別委員会が無くても、常任委員会で議論できる」「設置してまで取り組むべき課題がない」などの意見が出ており、設置に必要な議案が提案されていません。前回の特別委員会は16年6月定例会で、全会一致で設置されています。

 これまで特別委員会では、基地の騒音やレーダー不停波問題など住民生活を脅かす問題に対して、対策を求めて活動してきました。

 18年5月のレーダー不停波によるドクターヘリの運航に遅延が生じた問題では、同年6月に防衛省・近畿中部防衛局を訪れ、抗議書を手渡し、原因究明と再発防止を求めました。

特別委員会による騒音調査(2015年2月)=共産党京丹後市議団提供

 14年12月の基地の本格稼働直後に発生した発電機稼働による騒音問題では、現地を訪れ、地元住民から聞き取りを実施し、15年2月に同防衛局に対して「速やかな対策」を求める申し入れを行いました。現地調査は昨年5月の発電気騒音問題でも実施しています。

 調査活動は、基地設置前にも行われています。13年4月には「基地対策調査特別委員会」で、レーダーが先行配備された青森県つがる市の車力通信所を調査。調査報告書では、「車力と全く違う立地条件の違いから生活や治安への影響が考えられる」と指摘しました。

 他にも、地元住民や米軍、防衛省による協議の場「安全・安心対策連絡会」には議会代表は出席していないため、同連絡会の内容を同市担当者から説明を受け、交通事故問題などについて市の対応をただす場ともなっています。

 基地問題に関わる議会への陳情も特別委員会で審査してきましたが、今議会では総務常任委員会に付託されています。  委員を務めてきた日本共産党市議団の田中邦生団長は、「特別委員会は日常的に基地問題を議論し、必要に応じて調査もしてきた。17日まで約束違反の発電機稼働もあり、今後も問題が起きる可能性がある。住民要求を吸い上げ、行政に対応を求める場でもあり、議会として委員会の意義についての認識を一致させ、合意形成を図れるよう全力をあげたい」と語っています。