与謝野町が「決定」した候補地の旧岩屋小学校の校舎

共産党「プロセスに問題、議論なり直しを」

 与謝野町が、老朽化した学校給食センターの移転・新設の方針を打ち出しています。この方針をめぐり、候補地や運営手法などを検討するために設置された「あり方検討委員会」での検討結果が報告されていないにもかかわらず、町が候補地を決定していたことがこのほど、分かりました。また、建設費用に関する資料が同委員会に提出されていないことも明らかとなっています。日本共産党町議団は、「プロセスに大きな問題があり、議論しなおすべきだ」と訴えています。

 同町は、旧野田川町域に設置されているセンターを取り壊し、4~5年後に新センターの運用開始を目指しています。現在、同町にある6小学校、3中学校のうち、岩滝小のみ自校方式の給食となっています。センターの新設とともに全校でセンター方式に移行する計画です。

現在の給食センター

 同町は、候補地や建設・運営手法、岩滝小でのセンター方式導入などについて検討するために区長、PTA、小中学校長ら20人ほどでつくる「与謝野町学校給食あり方検討委員会」を設置(19年3月)し、設置要綱で委員の任期を「教育長に結果を報告する」までと定めました。同委員会は今年2月までに4回開催。町は、候補地としてともに廃校となった岩屋小(野田川)、与謝小(加悦)の跡地を提示していました。

 しかし、今年の町議会6月定例会で、同町学校教育課は、同委員会の報告が行われていないにもかかわらず、「岩屋小学校を候補地とする」と表明。その理由として、▽与謝小は自治会などで跡地活用を検討しているが、岩屋小は活用の見込みがない▽岩屋区から誘致の申し出もある─などを上げました。

 同課は取材に対し、「報告は出てないが、4回目の会議で検討委員会はいったん閉じて、それまでに出された意見を踏まえて町が判断した。地元との協議なども必要であり候補地の決定は急がれる。今後も必要があれば検討委員会は開く」と語りました。「設置要綱の定めに反していないか」という質問に対しては、「意見を踏まえて町が判断することは検討委員会でも了承されている。プロセスに問題はない」としました。

 しかし、委員の一人は、「委員会の議題とした4回目までに出されて意見をもとに、後は町が判断することについて賛否を問われたことはなかった」と語っています。

 また、活用する起債(3種類)の違いによる建設費の町負担額の比較資料を議会には提出しましたが、検討委員会には示していませんでした。議会に出した(1月)比較資料では、負担額の最低は約2億3000万円、最大は約6億2000万円となっていました。同学校教育課は取材に対し、与謝小跡地に建てる場合、最低の負担額となる起債が活用できる可能性が「極めて高い」としています。

町負担最大で4・6億円高く

 さらに、今年町議会3月定例会で、日本共産党の永島洋視議員は、建設にあたり岩屋小は校舎解体が必要だが、与謝小ならグラウンド跡に建設できると指摘。解体費用も含めると岩屋小跡地の場合、町負担額が最大で約4億6000万円多くなることを示しました。

 永島議員は、「委員会の報告も受けず、町の独断で方針を決めることなど許されない。また比較資料を委員会に提出しないなど、プロセスに大きな問題がある。もう一度、必要な情報を公開し、住民の意見を聞いて議論しなおすべきだ」と話しています。