開会あいさつする佐野春枝会長

 高齢化に伴い、耳が聞こえにくくなって仕事や社会生活に困る高齢の難聴者が増えています。こうした「加齢性難聴」の高齢者に補聴器購入費の公的補助を求めている市民グループが9月12日、京都市内で学習交流会を開き、52人が参加。難聴者の実情や補聴器をめぐる課題や誤解を学ぶとともに、今後、府内の市町村議会に対して、自治体独自の補助事業を求める請願運動を進めていくことを確認しました。

 主催は、全京都生活と健康を守る会連合会(京生連)、年金者組合京都府本部、京都高齢期運動連絡会、京都社会保障推進協議会の4団体が協力して8月に発足した「補聴器の公的補助を求める会」。

 加齢性難聴は、日常生活上の不便にとどまらず、聞こえにくいことから外出を控え、人との会話・交流が減ることで認知症やうつ病の要因にもなると指摘されています。補聴器は平均でも15万円程度、40~50万円超の高額のものもあります。しかし、国の補聴器購入への助成は、両耳の平均聴力レベルが70デシベル以上の、障害者手帳を持つ高度・重度難聴者のみが対象で、加齢性の中度難聴者にはありません。国の公的補助制度がないもとで、独自に購入費の一部を助成したり、現物支給するなどの事業を実施している自治体もあります。

 同会代表の佐野春枝・京生連会長が開会あいさつし、「補聴器購入費への公的補助は大きな市民的要求となっています。国際的には40デシベル以上とされている聴覚障害が日本では70デシベル以上と狭められている問題もあります。運動を広げ、なんとしても公的補助を実現しましょう」と呼びかけました。

 昨年9月の代表質問でこの問題を取り上げた、日本共産党の玉本なるみ京都市議は、市が「財政難」を理由に独自補助を拒んでいることを紹介した上で、「現物支給」を実施している東京都・江東区の事例を挙げ、「委託業者が補聴器の調整のために区役所に出張する仕組みもつくっている。こうしたフォローまで含めた制度は参考にしたい」と述べました。

 昨年会員へのアンケート調査に取り組んだ、京生連の田中章一副会長は、半数以上の人が日常的に「聞こえ」について悩みを抱えるていることが分かったと話し、「年金生活には補聴器購入の負担は大きく、『貯金を崩した』という人もあった。京都市も課題であることは認めている。運動で行政の壁を乗り越えていきたい」と語りました。

 長岡京市難聴者協会会長の山口武彦さんが発言し、運動に賛意と感謝を示すとともに、難聴者協会など聴覚障害者団体が歴史的に、日本の障害認定を国際基準に沿った40デシベル以上とするよう求める「デシベルダウン(運動)」に取り組んできたことを述べ、「連携して取り組みたい」と話しました。

 また、宮津市議会で国に公的補助制度創設を求める意見書を採択させた取り組みが紹介(年金者組合宮津与謝支部)されたほか、現役世代であるにもかかわらず病気が原因で補聴器をつけている当事者が「加齢性を突破口に、突発性や事故・病気による難聴者にも公的補助の道が開けるよう運動を広げてほしい」と訴えるなど、活発に交流しました。