「西陣織マスク」労組が販売応援/全西労「仕事おこし」「伝統産業身近に」
正絹100%のネクタイ・帯地を使用
西陣織のシルク生地を使った手作りマスクはいかが? 外出時に欠かせないアイテムとなったマスクを、ものづくりのまち「西陣」を支える職人でつくる全西陣織労働組合(全西労)が、「仕事おこし」の一環でバックアップする、おすすめの逸品です。今秋から本格的に販売を始めます。
マスクは、正絹100%の西陣織のネクタイ生地や帯地を使用し、一つひとつ手作りで仕上げます。表裏どちらでも使えるリバーシブル仕様で、スーツや和装のコーディネートに落ち着いた印象を与える、おしゃれマスクです。
シルク素材は、光沢があり、肌触りが滑らか。吸湿性・放湿性に優れ、「夏は涼しく、冬は温かい」という特徴があり、手洗いして繰り返し使えます。
縫製を手掛けるのは、北区で手縫い工房「むらかみ」を構える村上修一さん(75)=上京区=。西陣織の手機(てばた)職人からネクタイ職人に転身して40年のキャリアを持ちます。
7月には、新型コロナの影響によるリモートワークの影響なのか、ネクタイの受注がゼロを記録。「クールビズの普及で夏場の注文は少ないが、こんなことは初めて」と言います。織元(おりもと)も西陣織のマスクを商品展開するようになりましたが、「マスクは高価だが、職人の工賃は安価」との声を聞き、全西労(松下崇委員長)が、「仕事おこし」に一役買おうと注文・販売を引き受け、応援することになりました。手始めに、京都総評の定期大会会場(5日)で、松下委員長を先頭に試作品を紹介。30枚を販売しました。
村上さんがマスク作りに挑戦したのは3月。介護施設で働く娘から、「マスクが足りない。作れないか」と言われたのがきっかけでした。立体マスクの型を自作し、余った西陣織の端切れで製作。自身も着けていると、近所の人からも求められるようになりました。
西陣織の生産減少に並行して、ネクタイ職人も減少。数少ない職人を頼りに、沖縄のウージ染や奄美大島紬を素材とするネクタイの注文のほか、ヨーロッパで購入したブランドネクタイの仕立て直しを依頼されたこともあります。「このままでは、ものづくりの文化が廃れる危機感がある。マスクを通して京の伝統産業の西陣織を身近に感じ、魅力を伝える機会にしたい」と話しています。
松下委員長は「仕事おこしの取り組みが、産地全体の評価を高めることにつなげたい。浴衣にも似合う手頃なマスクとして、若い人にも広げていければ」と期待しています。
立体型の中サイズ(12㌢㍍×18㌢㍍)。価格は800円。
西陣織マスクの問いわせは、全西労☎075・441・7624、075・441・8802(北・上地区労事務所内)。