解体工事が進む元植柳小学校校舎

住民「計画あまりにずさん」

 京都市が、元植柳小跡地(下京区)に高級ホテルを誘致する計画で、市のずさんな対応が浮き彫りになっています。市は7月、事業者と土地の貸付契約を締結しましたが、事業者はホテル側と契約を交わしておらず、市は契約がいつ行われるかも把握できていないことが分かりました。地元住民は「無責任な計画に市民の財産である学校跡地を使わないでほしい」と訴えます。

 市と地元植柳自治連合会、事業者・安田不動産(東京都)の三者協議(8月25日)で判明しました。進出するホテルは、タイを代表するホテルグループ「デュシット・インターナショナル」のブランド「デュシタニ」で、事業推進には、日本で同ブランドを運営・管理するD&J(東京都)と安田との契約が大前提となっていました。ところが、安田が提出した資料には「D&Jとの契約締結に向け、最終調整中」と記されていました。

 市は既に、植柳小跡地約4700平方メートルについて、安田と年間賃料約8200万円、60年間の定期借地権設定契約を締結。デュシタニが進出する保障もないまま、市は民間企業への跡地提供を先行させていました。本紙が9月25日に市に問い合わせたところ、「現時点でも契約は交わされていない。両社は基本協定を締結し、契約のための最終調整中と聞いているが、市は契約の時期も、基本協定の内容も知らない」(資産活用推進室)と回答しました。

 地元で反対運動に取り組んでいる大屋峻さんは「こんないいかげんな計画は許されない。市は住民を振り回すべきでない」と話しています。

ホテル計画再検討せよ 共産党が追及

 この問題では、日本共産党の山田耕司議員が、市議会総務消防委員会で繰り返し追及してきました。山田議員は「コロナで景気は危機的状況だ。宇都宮での事態を受け止め、市は計画を再検討すべき」(6月8日)と要求。併せて「デュシットの進出の根拠は現時点ではない」(9月7日)と市の無責任な対応を批判しました。