今夏、全国の市町村教育委員会で行われた来春から使用する中学校教科書の採択で、過去の侵略戦争を美化し、改憲に誘導する記述のある教科書の採択率が激減したことを踏まえ、子どもと教科書全国ネット21事務局長の鈴木敏夫氏を講師に招き、採択結果を分析し、今後の運動のあり方について交流する学習会が11月21日、京都市内で開かれました。

 京都教科書問題連絡会、京都教育センター、京教組、新婦人府本部、京退教が共催。鈴木氏は、現在の使用冊数における占有率と今回の採択率をみると育鵬(いくほう)社の歴史教科書は6.4%から1.1%へ、公民教科書で5.8%から0.4%に激減、自由社の公民教科書は前回、今回とも0%だったとして、4半世紀にわたる教科書における歴史修正主義の策動の基盤を失う危機に追い込み、安倍政権が進めてきた「教育再生」への打撃を与えたと指摘。

 原因として、育鵬社や自由社教科書の内容を広く明らかにし、採択の民主化を求める市民の運動や、女性への性暴力に抗議する運動への支持の高まりなどによる極端な保守派政治家の影響力低下などを挙げるとともに、「他の教科書との差が縮まった」などとする「朝日」などの論調については侵略戦争や植民地支配、憲法などの指標を示し、同化している事実はないと批判しました。

 今後の運動について、○学校採択の実現○教育委員会採択のもとでの一層の民主化○教科書記述の改善○アジア・太平洋戦争にいたる近代日本の戦争責任・植民地支配の総括の強化─などを提起しました。

 活動報告を含む開会のあいさつを新婦人府本部の江本佳世子副会長が行い、京都での教科書採択をめぐる取り組みと課題について、子どもと教科書京都ネット21の大八木賢治・事務局長が報告しました。