【北山エリア整備構想を考える】自治体が企業の儲けの場に/大学関係者・識者に聞く
弁護士 尾林芳匡さん
自治体の所有する土地を民間のコンサルティング会社に委託して、利益を上げる施設に変えていく手法が全国で取られています。
それは国が自治体業務の民間委託を進め、誘導していることが背景になっています。1999年にPFI導入の立法が行われ、その後の法改正で公有地での営利事業が推進されています。
例えば、東京都渋谷区などでは、区役所の建て替えにあたり、巨大なマンションと区役所の併合施設を建設しました。住民からは、不動産会社の利益のために公有地を使ったことや防災面などで批判の声が上がりました。
京都の「北山エリア」構想の問題も、自治体の土地を使って、民間企業が利益をあげることが狙いです。金もうけ優先で、歴史や文化、災害対応や社会的弱者への支援などの自治体の役割は、ないがしろにされかねません。
そして事業が失敗し負債を生んだら、住民にそのツケが回されるおそれもあります。数十年も自治体の土地を好き勝手に使用しながら、民主的なコントロールができず、経営内容は情報公開されず、不透明です。
国際的なコンサルティング企業の中では、自治体の民間委託を請け負うセクションが作られ、事業拡大を狙っています。
コロナ禍の中で、国際的イベントの誘致や大型施設の建設などの見直しが求められています。自治体本来の「住民の福祉の増進」を目指した公有地の活用や公共施設政策が求められていると思います。