北陸新幹線延伸 鉄道運輸・機構の残土処分方針は「不可能」/南丹市・田歌区質問状に市が回答
府の回答は公表済みの知事意見の概要のみ
北陸新幹線延伸をめぐり、南丹市美山町田歌区が京都府と南丹市に対して提出していた公開質問状に対し、府と同市は昨年末、回答書を区長あてに提出しました。府の回答は、公表済みの環境影響評価方法書に対する知事意見の概要を記したもの。同市は回答で、鉄道・運輸機構が示した建設残土の処分方針について、「不可能である」という見解を示しています。
同質問状は、府に対して6項目、同市に対して4項目で、工事に伴う自然・住環境への影響や建設残土の処分問題などについて見解を問うています。回答はそれぞれ昨年12月28日付です。
府は、項目ごとに回答せず、昨年4月に公表した環境アセス本調査(昨年12月から開始)の方法書に対する知事意見の概要を記述。今後も地元説明と適切な対応を国や鉄道・運輸機構に求めていきたいなどとしています。
南丹市は各質問項目について回答。回答の中で、自然景観への影響や地域の魅力の低下とともに、大量の工事車両の通行が生活環境にも影響を与えることが懸念されるとし、「影響の回避・低減を要求する」としています。
また、残土処分について、鉄道・運輸機構が示している「延伸工事内での再利用や他の公共事業への有効活用」という方針について、「不可能であると考える」という見解を示し、「工事発注前において、残土の処分方法や残土処分場等を明確にするよう要求する」としています。
長野宇規区長は、「南丹市は質問項目ごとに回答し、一定理解が進んだ事項もあった。府は主体性のない残念な回答で、十分な説明責任を果たしていただけなかった」と指摘。今後、各問題点について、国も含めて質問を重ねて納得いく回答を求めていくとしています。
なお、鉄道・運輸機構に対して通知している、同区でのアセス本調査の受け入れ拒否は、納得できる回答を得られるまで継続していくとしています。