聚楽保育所(京都市中京区)

保護者「あまりに身勝手。『子育て環境日本一』どこに」

 京都市の市営聚楽保育所の民間移管方針が白紙となった問題をめぐり、門川市長は、同園の縮小や廃止を含め検討する考えを示しました。公的責任を放棄する発言に、保護者は怒りの声を上げます。

 市はこの間、財政難を理由に、「民間でできるものは民間で」と市営保育所の民間移管を推進。25カ所あった市営保育所のうち10カ所を民営化してきました。

しかし、聚楽保育所では、保護者らの反対運動を背景に、移管先法人が昨年、受け入れを辞退。民営化は行き詰まり、「白紙」となっていました。

 ところが、市は昨年12月に突然、入園募集の締め切り後に、1、3歳児以外の入所を受け入れないとする、乱暴な方針を決定。受け入れを拒否された保護者が、市を相手取り提訴する事態となっていました。

 2月24日の市議会代表質問で、日本共産党の山本陽子議員は市のやり方を批判し、「コスト削減ありきで、市営保育所の民間移管を進め、市民からセーフティーネットを奪っている」と指摘。聚楽保育所の民間移管方針の撤回を要求しました。

 門川市長は、自ら引き起こした事態を反省するどころか、「地域の保育ニーズや将来予測を踏まえ、縮小や廃止を含めあらゆる選択肢を検討する」と答弁。市営のまま廃止する可能性を示しました。

 夫が提訴に踏み切った、ゼロ歳児の母親、田中結子さん(41)=仮名=は、市の窓口で「子どもの少ない東山区に行っては」などの〝提案〟がされたと言います。「こんないい加減な提案をし、民間移管ができないなら、廃園もありうるなんてあまりにも身勝手。少子化対策に逆行です。子育て環境日本一を自慢する市長の言葉でしょうか」