法然院での学習会で講演する若松氏(7月1日、京都市左京区)

 北陸新幹線延伸による環境問題などについて考える講演会が7月1日、京都市左京区の法然院で開かれ、約30人が参加しました。

 日本自然保護協会保護部の若松伸彦氏が、全国各地の新幹線工事による環境破壊問題などについて講演。建設が進むリニア中央新幹線建設工事では、南アルプスでの巨大トンネル工事による影響で、地下水の減少や、莫大(ばくだい)な建設残土の発生、陥没事故などが問題になっていると解説。

 特に水源の問題では、静岡県で大井川の水量の減少が懸念されていることや、トンネル工事が行われた山梨県の戸倉川は水が枯れたために周辺集落へ給水車が水を運搬している事態になっているとし、「トンネル工事によって水源にどのような影響が出るのかは掘ってみないと分からないのが実態。京都でもトンネル工事によって水源への影響が懸念される」と指摘しました。

 また、福井県敦賀市の中池見湿地を通る北陸新幹線のルートを変更させた運動などを紹介。京都府内での延伸の影響について、大量の残土の発生や地下水への影響などをあげ、「実際に工事が進んでみないと分からないことが多い。私たちもリニアの工事などで抗議の声明なども出してきた。問題点を具体的に提起していくことが重要」と述べました。

市民がビラ10万枚作成「計画中止を」

 「北陸新幹線(京都延伸)計画の環境アセスメントの一旦停止を求める会」の榊原義道事務局長が京都の自然への影響について講演。莫大な残土の発生とともに、ヒ素などの有害物質が検出される危険性や、地下水への影響、住宅街への大深度地下工事の影響、膨れ上がる莫大な建設費の問題などを指摘し、「環境への影響や財政問題の点からも計画は中止させるしかない。市民でビラを10万枚刷り、配布しています。この問題を大きく知らせ、中止に追い込もう」と呼びかけました。