「地域の宝」守った 木津川市・南加茂台保育園存続へ 統合・廃園計画、住民パワーで動かす
木津川市の「公立保育所民営化等実施計画」で、2024年度に廃園・統合が予定されていた南加茂台(ながもだい)保育園について、当初の計画を変更し、公設・公営で存続することが分かりました。「南加茂台保育園の存続を求める会」は7月29日、「存続へ計画変更」と書いたニュース速報を同保育園前で保護者に手渡し、吉報を伝えました。
存続の報は、今年度を検証期間と位置づけた同計画を検証、審議する「木津川市子ども・子育て会議」(7月19日開催)で、24年度の廃止計画を変更し、「継続」する案が市こども宝課から提示されたことを受けたもの。
保護者ら吉報に「良かった」
ニュースを手にした保護者らは、「良かった」「めっちゃ、うれしい」と応じていました。8月に第2子を出産予定の母親(39)は、「2人目の入所が不安だったが安心した。良かった」とほっとした様子。第3子が在園する母親(28)は、「上の2人もここの卒園児。保育士さんも保育内容も良くて、残してほしいと願っていた」と話していました。
計画変更で「継続」する園はこのほか、梅美台(木津)保育園分園、相楽台、相楽の両保育園です。
南加茂台地域では2月、地域住民や保護者でつくる「南加茂台保育園の存続を求める会」を結成。若い世代の入居や街づくりの視点からも保育園の存続が欠かせないと署名運動を展開し、○保育園の存続○「公立保育所民営化等実施計画」の検証で、地域住民や保護者の意見・願いを反映する機会を設ける―ことを求めました。
署名は6月、2241人分を市長と教育長宛に提出。「子ども子育て会議」の委員には、要望内容を伝え、慎重な審議を求めて働きかけを行っていました。
同「求める会」の呼びかけ人の一人で、「子ども子育て会議」の議事を傍聴した吉田育さん(74)は、「会議資料に『継続』と書いてあったが半信半疑で見守った。正しい判断がされたと思う」と話していました。
「署名に賛同していただいた皆さんに、まずは、存続の方向に進んでいることを報告したい」と話すのは、同「求める会」世話人の天野豊さん。25年度以降の統廃合計画の不安が残っているとし、「世話人会で相談し、引き続き保育園の存続に力を合わせたい」と語っています。 こども宝課では、8月中に政策決定を行う予定としています。
共産党市議団「民営化計画の見直し求める」
木津川市の保育園行政は、国基準による「待機ゼロ」を標榜していますが、「自己都合」に分類された待機児童は、毎年数十人にのぼります。しかし、市は公立保育園を減らす「公立保育所民営化等実施計画」を決め、2017年度から民営化や統廃合を進めてきました。
実施計画の検証期間にあたる今年度、統廃合が予定されていた南加茂台保育園を含む4つの園を公設・公営で継続する見直し案を出し、検証機関の「子ども・子育て会議」で了承されました。
議会で、公立保育所の民営化、統廃合に反対してきた日本共産党木津川市議団(酒井弘一団長、3人)は、「南加茂台保育園が地域以外の園児を多数受け入れている現状から、今回の見直しは当然のことと考える」とコメント。「南加茂台地域住民の『地域に保育園や小学校が必要』との願いを実現するため奮闘する決意」と同時に、「市のやみくもな公立保育園の廃止計画を見直すよう求めていく」と表明しています。