「ねっとわーく Kyoto Online」のトップページ
岡田知弘氏

 1987年に創刊された、市政をめぐる情報を発信してきた月刊誌「ねっとわーく京都」が休刊しました。今年6月「ねっとわーくKyoto Online」が開設されました。同サイトの代表で、京都橘大学教授の岡田知弘さんに創刊の意義について聞きました。

新景観政策成立に貢献

  ─雑誌として果たしてきた役割と、ウェブサイト版を開設した経緯を教えて下さい

 「ねっとわーく京都」の発刊は、バブル経済と大規模開発行政、そして歪んだ同和行政が複雑に絡み合いながら住民不在の京都市政が進められた時期の中で行政、経済、住民運動などを発信してきました。鴨川でのポン・デ・ザール橋建設計画を中止させ、乱開発・大規模開発に警鐘を鳴らし、新景観条例の成立に大きく貢献しました。また長く京都市政をむしばんできた不公正な同和行政の問題を告発し、
同和行政の終結にも大きな役割を果たしました。
 休刊を惜しむ声が多数寄せられるなか、長年、雑誌時代の発行責任者を務めた池田豊さん(京都自治体問題研究所副理事長)らと議論を重ね、6月からスタートしました。

  ─岡田先生が寄稿された「創刊の辞」では、京都でのアカデミズムやジャーナリズムの歴史に触れていますね

 昨年10月、菅義偉内閣は日本学術会議の会員候補6人の任命を拒否する事件を起こしました。これはかつての滝川事件などと同様の思想弾圧事件が現代において繰り返されたもので、アカデミズムを黙らせ、日本が再びファシズムの道を歩む危機が高まっています。
 かつて京都には反戦・反ファシズム運動のよりどころとなった雑誌『世界文化』(1935年~1937年)や、その姉妹紙で政治だけでなく文化・映画情報などを掲載した新聞『土曜日』(1936~1937年)が発行されていました。特高警察の弾圧で廃刊になりますが、戦後、両誌紙の執筆者たちが活躍し、真のアカデミズムや労働運動、市民運動などが引き継がれました。雑誌「ねっとわーく京都」もそうした流れを受け継ぐものです。
 第二次安倍政権以降、改憲の動きが強まり、大手メディアが批判精神を失う中で、ネット上で読者と執筆者が相互交流しながら、この京都の地で、住民の視点から地域の諸問題を批判的に調査、研究、分析し、日本、世界に向けて系統的に発信するメディアとして育てていきたいと思います。

  ─今後、どのような内容を発信していく予定ですか

 現在、北山エリア開発計画や仁和寺前のホテル建設問題、建設アスベスト訴訟など、多彩な問題の記事を随時掲載しています。
 今後は、政治・社会問題にとどまらず、文化・文芸・映画・コラムなどの記事とともに、映像配信もウェブサイト版の特性を生かしていきたいと思います。

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