『認知症のことで知っていてほしい5つのこと』 介護施設で勤務経験、漫画家・北川なつさんが冊子刊行
一人の人として見てほしい
高齢者施設で働いた経験を持つ漫画家の北川なつさん(49)が「認知症のことで知っていてほしい5つのこと」という冊子を11月に発刊しました。認知症本人から話を聞き、まとめた意欲作です。
北川さんは漫画家の仕事をしながら20~30代にかけ約8年間、特養ホームやグループホームで働きました。ケアマネジャーと介護福祉士の資格を取得。セラピードッグの研修も受けました。祖父母と一緒に暮らしたことや、現場での体験と知識から介護をテーマに出版した漫画本や絵本は20冊を超えます。また、病院などからの依頼で、待ち時間に読める、家族の病気や介護の日常を描いた連載冊子(無料)は、50万部が作成されました。
今回の冊子では「認知症と診断されて変わってしまうのは、本人ではなく周りの人たち?」「なんでも認知症のせいにしないで」「重度と思われる人にもいろんな顔があることを知って」など5つの話題を漫画8コマで表現。それぞれに北川さんがアドバイスの文章を添えています。
冊子は、滋賀県竜王町が認知症への理解を深める啓発活動として中学2年生に行っている講座(10月)で、北川さんに依頼が来たことから勉強も兼ねて、認知症当事者の2人が対談するオンライン企画(8月)に参加したことがきっかけです。その2人の話を聞き、認知症の人への対応は、だれにとっても普遍的で大切な内容だと思ったと言います。
漫画を通して温かさ感じて
北川さんは、認知症というと、日常生活全般で介助や手助けが必要な人と思いがちですが、実際には違うことが多いと言います。「陽気で周りを明るくする人や器用な方もおられます。病名でなく、人として見て接したい。それは障がいのある人にも当てはまるし、子どもから高齢者まで通じる話だと思うんです」
感情が高ぶって声を荒げたり、手を上げたくなった時、その瞬間の怒りをとめる感情を持ってほしいと言います。「立場が入れ替わった姿をイメージし、なぜ腹が立ったか、理由を考えてみて下さい。漫画を通して人として接する温かさを全世代に知っていただける一助となればうれしい」
A5判、12㌻。300円(税込み)。10冊以上注文の場合、1冊250円。送料、振込手数料は要別途負担。問い合わせ☎・075・463・6179。✉pekonatsu-dou@live.jp