情報公開で開示された「北山エリア整備事業手法等検討業務報告書」。大半な項目が“白塗り”となっています

 京都市左京区の府立植物園の開発や、府立大学に1万人規模のアリーナ建設などが計画されている「北山エリア整備基本計画」をめぐり、府の委託を受けたコンサルティング企業が同計画を検討した資料について、市民が情報公開請求したところ、ほとんどが“白塗り”で非公開とされました。住民説明会では明らかにされなかった費用やスケジュールなどが明記されていたとみられ、市民からは、「なぜ非公開にするのか」「検討中の費用やスケジュールなどを明らかにすべき」と声が上がっています。

 情報公開を求めた資料は、「北山エリア整備事業手法等検討業務報告書」(56ページ)で、国際的コンサルティング企業「KPMG」(本部オランダ)のグループ企業「KPMGコンサルティング」(本社東京都)が府の委託を受けて、今年7月に策定したもの。

 同資料では、植物園やアリーナ、シアターコンプレックスなどの開発費用、トータルコスト、事業の収支見積もり、事業のスケジュール、運営手法などの項目は明示されていますが、計画の内容や金額などは全て“白塗り”で公開されていません。

 府側は公開しない理由として、「法人に関する情報であって、公にすることにより、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある」「公にすることにより、不当に府民の間に混乱を生じさせるおそれがある」などとしています。

 府が11月8、9の両日に行った同計画の住民説明会では、費用負担やスケジュールなどを問う質問が相次ぎましたが、府側は「持ち合わせていない」などと回答し、説明を避けました。

住民団体「検討段階でも知らせるべき」

 情報公開請求を行った、「京都府立植物園整備計画の見直しを求める会」(なからぎの森の会)世話人の梶山耕一さんは、「説明会の時までに府はこの資料を持っており、予算やスケジュール、整備手法などは検討段階でも明示できたはずです。非公開の理由を『企業の利益を害する』『府民に混乱を生じさせる』などとしていますが、逆に府民の混乱を招いている。府民に検討段階でも計画の中身を知らせた上で、広く説明をするべきです」と話します。

 同会の鯵坂学共同代表は、「私たちが11月に出した公開質問状では、計画の内容や費用などを問う項目がある。府は説明責任を果たし、具体的な内容を回答すべきです」としています。